課題 発見 ■1 仲介手数料どう見直す 物件数千万円まではアップしても是か
住宅新報 2018年4月10日 号 11面
連載: 課題 発見

70年に定められた現在の媒介報酬規程(消費税8%込みの料率になっている)
半世紀前の規定
現在の仲介手数料規定は約半世紀前の1970年に当時の建設省大臣告示によって定められた。物件価格の200万円以下までは5%、200万円超400万円以下が4%、400万円超の部分は3%である。この低域価格帯での分け方を見れば、もはや時代にマッチしていないことは明白だろう。
現在の不動産市場には空き家物件のように100万円未満のものから、数億円以上するマンションまである。また、東京と地方との価格差も広がっている。
折りも折り、今年1月1日から低額の空き家物件流動化策として、400万円より低い物件については手数料規定を見直した(上限を18万円に引き上げた)。しかし400万円以上の物件についても早急な見直しが必要と考える。その理由の第一は合理性の有無である。
今更だが、例えば1000万円の物件を仲介した場合の現行手数料上限(売主、買主どちらか一方から受け取れる金額)は36万円、3000万円なら96万円、1億円なら306万円となる。
合理性の有無
1000万円の物件と1億円の物件との仲介手数料の差が270万円もあることにどういう合理的説明がつくのかという問題である。両物件の仲介業務内容にこの金額差ほどの違いがあるのだろうか。高額になるほど、緊張度が高まるということか。それにしても、このギャップをもう少しなだらかにするためには時代に合った区分する価格帯とそれぞれの料率見直しが不可欠ではないだろうか。
例えば、物件価格のうち、200万円までは10%、200万円超1000万円以下は4%、1000万円超3000万円以下は3%、3000万円超は1%としてみよう。 こうすると1000万円の物件と1億円の物件との上限手数料は52万円と182万円となり、その差は130万円で現行の半分以下に縮小する。
しかし、1000万円の物件の手数料が16万円アップすることに消費者が納得するだろうか。難しい調整が必要になる。
難しい〝分岐点〟
ちなみに、この規定の速算式は3000万円以上なら物件価格の1%+82万円となる。現行規定と比べると、物件価格3800万円を境にそれ以下の物件であれば手数料がアップし、それ以上であれば手数料が下がる。
この分岐点をどこに設定すべきかは議論の分かれるところだろうが、最終的には業界と消費者の意見を聞いて決めるしかないだろう。
どうしてもまとまらなければ、いっそのこと手数料規定を撤廃して〝自由化〟してしまうという選択肢もある。
〝自由化〟の選択も
自由化すれば、おのずと業界ルールが定まっていく可能性もある。たとえば、5000万円までの物件は一律3%、それ以上は企業裁量とかいうように――。あるいは、仲介サービスの世界にも企業の〝ブランド戦略〟が浸透し、サービスに含まれる多様化と共に、本格的な自由競争が始まるかもしれない。
どちらが消費者の利益につながるかは分からない。ただ、仲介手数料の見直しの必要性は、単に低価格物件と高額物件とのギャップの大きさだけではない。住まいをあっせんするという仕事は本来極めて専門性と社会性の高い仕事である。それゆえ極めて高度な知識と倫理性を備えた優秀な人材の確保が不可欠となる。
そのためには、その能力に応じて高い報酬が得られる仕組みを仲介業という分野に構築する必要がある。
また、仲介業従事者の高齢化も進んでいる。これからの若い世代が憧れと誇りをもって就職できる仲介業に変革する。仲介手数料規定の見直しはそのためである。 (本多信博)

















