「BESS」の決断
「BESS」ブランドでログハウスを展開するアールシーコア(二木浩三社長)はこのほど、18年から「LOGWAY」という名称を現在の「展示場」に代わる呼称として使っていくと発表した。
例えば「BESS藤沢展示場」は「LOGWAY BESS藤沢」になる。変更する理由は「展示場」という言葉は、BESSが訴えたい「住むより、楽しむ」「住まいは道具」といったコンセプトにふさわしくないからと同社の木村伸執行役員は話す。
というのは、一般に「住宅展示場」といえば、ハウスメーカー各社が出展するハードとしての家を比較検討する場所である。しかし、BESSの展示場は同社商品だけが並ぶ〝単独展示場〟である上に、ハードではなく「暮らし(ソフト)」そのものを提案するところだからだ。
92年に第1号展示場を府中市につくったときも、本当は展示場という言葉は使いたくなかったという。しかし、当時はまだ同社も無名に近い。「そんな当社がこだわりを示しても混乱するだけと諦めた経緯がある」と木村氏。それが今や展示場の数も増え(全国42カ所)、BESSブランドの認知度もそれなりに高まっている。
そこで、「そろそろ『住まいは楽しく暮らすための道具』という当社の定義を世の中に宣言してもいいのではないか」(二木社長)との思いが今回の呼称変更を決断させたようだ。進むべき道(Way)が定まれば、あとはその道を貫き通すだけである。
少子高齢化による経済成長の鈍化、社会保障費負担増大による若年世代の住宅取得能力低下、単身世帯増加による持ち家需要の減退など不透明さを増す住宅業界にあって、LOGWAY(BESSの暮らしへとつづく道)を示すことができた要因は何か。 まさにハードではなく、暮らしそのもの(ソフト)を重視する同社の価値観に共鳴してくれる、まだ数少ない顧客層をターゲットにしているからではないか。
「パーソナルAI」 登場
というのも、大局的に言えば、日本ではもう、大量生産・大量販売というビジネスモデルは成立しない。これからは、人間一人ひとりの心の中にある〝感性〟に訴えるビジネスが成長株だ。それを裏付ける新たなコンピュータ技術が登場してきた。
ファッションテックのSENSY(渡辺祐樹社長)は人間の日々の行動やチャットなどのコミュニケーションを通じて、ユーザー(顧客)一人ひとりの〝感性〟を学習し、その人ならではの嗜好・好みを理解してくれる個人専用のパーソナル人口知能(AI)を開発している。
そのパーソナルAIはクラウド上にあって、それがアパレルメーカーのAIとつながれば瞬時にしてユーザーが今、あるいは来年の夏や冬に最も着たいと感じる(本人は気づいていないことも)衣料を提供することができるのだという。現在はファッションの分野に取り組んでいるが、今後はユーザーの様々な消費行動に参入していく計画だ。
自分専用のAIと言われても、にわかにはイメージしにくいが、「誰もが、のび太にとってのドラえもんを持つようなもの」(渡辺社長)と言われれば分かりやすい。しかし、何でもドラえもんを頼ってしまうのび太がなかなか自立できないように、パーソナルAIは人間の頭脳を劣化させる危険はないのだろうか。
それはともかく、AIは創造力を持つこともできるのだろうか。渡辺社長によれば、
「創造力は過去の膨大な学習を様々に組み合わせることで生まれる。人間でも一つのことを一生懸命考えていると、ある日突然ひらめくことがある。それは、過去に学習したいくつかのことが、意外な組み合わせでくっついたからだ。AIは何十万通りもの組み合わせを瞬時に行うことができるから人間よりも創造力を発揮する」らしい。
住まいを〝哲学〟
コンピュータが人間よりも創造性豊かになるのであれば、人間の最終的役割としては何が残るのだろうか。いよいよ、時代は〝哲学の世〟となる。そういえば、アールシーコアの二木社長は、演繹法をもとにこう述べる。
「感性は人を豊かにする。BESSは感性である。だから、BESSは人を豊かにする」
日本の義務教育は哲学と宗教は教えない。だから日本人は〝自然〟と八百万の神を崇拝するだけだ。そうした日本にあって、経営者も社員も「人間の幸福とは何か」を真剣に考え、哲学的思考にこだわる同社の存在はまさに〝異端〟である。 (本多信博)


















