〝寅さん〟の映画に出てくる柴又駅もそうだが、京成線の駅にはどこか物哀しげな風情が漂う。ここ京成西船駅も哀愁を誘う。中山競馬場の南方に位置し、昔は葛飾村だったことから葛飾駅と呼ばれていた。JR西船橋駅とは900メートルほどしか離れていない。店は改札口を出て左に進むと線路沿いの狭い道に面している。古びたプレハブ風の建物。昔は立ち飲みだったが、今は鍵型のカウンターに椅子が10席ほど並ぶ。空いていれば外が見える位置に座りたい。引き戸のガラス越しに電車や、駅から出て来て夕暮れの家路を急ぐ人たちを眺めるのが好きだ。なんとも心が軽く和らいで、一日の疲れも消えていく。
料理のメニューは少ないが、時折びっくりするほどおいしいものがある。それで十分だ。前金制で各人の前に置かれた器に適当にお金を入れておく。常連さんで埋まることが多く、帰るときには、ほぼ全員が声を掛けてくれる。なんとなく、昭和の時代にタイムスリップしたかのようだ。(本多)


















