点検・不動産投資 新成長分野への展開 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 ホテル(7) 日本不動産研究所金融ソリューション部専門プロジェクト室長干場浩平氏 ホテル開発急増し負の影響も
住宅新報 2017年4月25日 号 3面
連載: 点検 不動産投資
--最初に現在のご担当業務の概要についてお話しください。
当研究所では、多様な用途の不動産評価を扱っているが、私はオペレーショナルアセットのうちレジャーアセットの評価に携わっている。案件構成としては、ホテル等の宿泊施設が3分の1、ゴルフ場が4分の1、残りがパチンコ店・スキー場等である。
取引の伸びが鈍化
ゴルフ場関連の案件は、外資系ファンドが再生案件を手掛けた時期に評価依頼が増えたが、現在では預託金問題によるゴルフ場の倒産等が落ち着き、依頼目的は減損等の会計目的が多くなっている。
--評価業務を通じ、ホテル投資市場の動向をどのように捉えていますか。
ここ数年間、ホテル投資案件は着実に増加してきたが、昨年当たりから完成物件の取引件数の伸びは鈍化してきている。買い手の購入意欲が減退している訳ではないが、投資市場に供給される優良な物件が少なく、投資家が購入するチャンスが少ないことにある。Jリートがいったん物件を所有すると、その後は物件が流動化しにくくなることも、その一因だ。そうした中で、投資家の目は新規案件や、地方都市でのホテル投資に向かっている。
Jリート運用ホテルを分析すると、運用物件の約3分の2は宿泊特化型ホテル(ビジネスホテル)であり、約3分の1がフルサービス型のホテル等(シティホテル・リゾートホテル・旅館)である。現在も投資の中心は、宿泊主体で売り上げが安定的な都心型の宿泊特化型ホテルであるが、最近はフルサービス型ホテル等への投資も増加してきている。
フルサービス型ホテルはビジネス型と比べ、一般的には収益のボラティリティ(変動)が大きくなる傾向があるが、1件当たりの投資額が大きいことが投資家にとっての魅力となっているようだ。
--Jリートは主にどこからホテルを購入しているのですか。
外資の購入が主流
他アセットと比較するとスポンサー取引の比率は低く、私募ファンドやホテル事業者等からの外部購入が主流である。スポンサー取引については、星野リゾート・リートの一部の物件のように、スポンサーが新規開発した物件をリートが購入している場合もあるが少数で、スポンサーが外部からホテルを買い集め、それをリートに売却するスタイルが主流である。スポンサー取引については、スポンサーが経営が芳しくないホテルを購入し、リブランド(ブランドの変更)やリニューアルなどを実施して収益力を向上させたり、投資適格物件に仕立てたりしてからリートに売却するケースが多い。
--最近になって、新たなホテルの開発が進んでいるように感じます。
リーマンショック前、ホテル開発が活発な時期があったが、景気悪化により10~12年にかけて、宿泊施設の新規着工面積は大きく落ち込んだ。その後、13~15年にかけて新規着工面積は徐々に回復したが、リーマンショック前のピーク時を下回る水準であった。
16年になるとホテル開発が急激に増加し、前年の2倍となる200万m2近くの宿泊用建物が着工した。ということは、20年までには新たなホテルがかなり竣工・稼働するということとなり、宿泊市場にマイナスの影響を与え、ホテルの賃料上昇も頭打ちとなる可能性がある。(続く)


























