点検・不動産投資 新成長分野への展開 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 44 識者に聞く (1) CBRE社長兼CEO坂口英治氏 地方の中核都市も有望に
住宅新報 2017年2月14日 号 3面
連載: 点検 不動産投資
今回から2回にわたって、シービーアールイー(株)(CBRE日本法人)代表取締役社長兼CEOの坂口英治氏に、主に新成長分野についてのお話をうかがっていくことにします。
坂口社長は、三井不動産、モルガン・スタンレー証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て、昨年10月1日付で同社社長に就任されており、不動産と金融の両面に通じていらっしゃいます。
――最初に御社の事業概要についてお聞かせください。
更なる拡大目指す
CBREは世界に400以上の拠点を持ち、7万人のプロフェッショナルが働くグローバルな不動産サービス会社である。日本でも1970年に当社の前身となる会社の設立以来、事業の拡充を図ってきており、全国10拠点(うち東京に2拠点)において、売買・賃貸借の戦略的なアドバイスおよび取引業務、プロパティマネジメント、不動産鑑定、コンサルティング、ファシリティマネジメントをはじめとする17のプロダクトラインを提供している。
おかげさまで多くのお客様に支えられ、過去5年間で売上高を2倍、利益水準(EBITDA)を4倍にまで増加することができた。だが、日本に一層根付き組織的な取り組みを拡充することによって、更に多様なビジネスチャンスを捉えることができると考えている。 顧客が集中する丸の内に東京の拠点を移転したのは、CBREが日本にコミットしていることを示す意味もある。
――不動産投資市場の現在の市況をどのように捉えていますか。
昨年夏頃から分譲マンション市場に変調が見られたため、商業用不動産投資市場についても、そう遠くないうちにピークを打つだろうと読んでいた。事実、昨年秋には、先行指標となる不動産会社の株価が、NAV(純資産価格)に比べて大きくディスカウントとなり、調整局面が近いことを示唆していた。
だが、トランプが米国大統領に決まってからは円安、株高に転じ、その後も高原状態が続いている。とはいえ、これからオフィスなどの大量供給が始まるので、不動産のマーケットサイクルからしても、本年下半期には緩やかな調整局面に入ってきてもおかしくはないと考えている。
気になる金利動向
こうしたサイクル論以上に気になるのは、金利の動きだ。米国で財政出動によるインフラ投資などが進めば、景気や財政面の要因から、米金利が更に上昇する可能性が高い。それが円安要因にとどまらず、発展途上国からの資金の引き上げや日本の金利上昇につながると、一気に市場が冷え込む懸念もある。2008年のリーマンショックの例からも分かるように、金融要因が不動産市場に与える影響は極めて大きい。
――日本の不動産投資市場では、ヘルスケア、ホテル、物流、インフラなど投資対象の拡大が進んでいます。
いずれも有望な成長分野だ。サイクル論でいえば、いずれもそろそろピークを打つ可能性があるが、中長期的には高齢化が進む中でヘルスケア施設への需要はますます高まるだろうし、インバウンド客がホテル需要を後押しするだろう。Eコマースの潮流が続く中で、物流施設に対する需要もまだまだある。
ただし、インバウンド客がすべて富裕層というわけではないので、供給されるホテルとのグレードのミスマッチが起きないか、物流施設が一時的に供給過剰とならないかといった懸念材料は残る。
地方への投資も成長途上にある。地方のすべてがよいというわけではないが、それぞれの圏域の中核都市には、人口や都市機能の集中が進んできている。そうした都市ではオフィスなどの空室率も下がってきており、東京のように過当競争によって高値買いせざるを得なくなるリスクも低い。
金沢のようにインバウンド観光客の増加が、新たな需要を生み出している地域もある。これからは「地方」を一括りにするのではなく、きめ細かく見ていくことによって、投資機会を生み出すことができるだろう。
さかぐち・えいじ=シービーアールイー代表取締役社長兼CEO。89年一橋大学法学部卒業後、三井不動産に入社。01年にモルガン・スタンレー証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社し、05年には同社投資銀行本部マネージングディレクター兼不動産グループ統括責任者に就任。16年10月から現職。


























