点検・不動産投資 新成長分野への展開 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 ■30 「インフラ」 (12) 投資課題は3点 (1)ミスマッチ(2)PRE分野の遅れ(3)仕組みづくり
住宅新報 2016年11月1日 号 3面
連載: 点検 不動産投資
今回はインフラ投資について、これまでに有識者の方々にうかがったお話やそこから浮かび上がった課題などを整理していくことにします。
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2つの分類方法
まず、インフラ投資の分類に関しては、経済活動に用いられ資本集約度の高い「経済インフラ」と、社会活動に用いられ非営利性・公共性が強い「社会インフラ」に分けることができます。
前者には、道路、空港、鉄道、電力、水道、廃棄物処理場などが含まれ、後者には、教育、役所事務、裁判所、警察、防衛などの施設が含まれます。主な投資対象となるのは、「経済インフラ」です。
もう一つの分類は、サービスの提供主体によって、「公共インフラ」と「民間インフラ」に分けるものです。「経済インフラ」の中には「民間インフラ」になっているものが多く含まれ、鉄道、電力、ガスなどは、民間企業によって運営されています。
「公共インフラ」でもPFIなどによって、一部に民間資金が入っていますが、主に事業者が出資しており、年金や生損保、銀行、ファンドなどの機関投資家による投資はほとんどありません。その意味では、「公共インフラ」の投資市場が本格的に形成されるのは、これからだと言えそうです。
それでは、「不動産投資」と「インフラ投資」には、どのような異同があるのでしょうか。基本的には、中長期的に安定したインカムゲイン(毎年の収益)が期待でき、インフレヘッジ効果(物価上昇時に利用料や資産価格の上昇が期待できる)がある点は共通しています。
一方、主な相違点としては、インフラは(1)市場独占性が高く競合リスクが低い、(2)公益的側面があり開発や管理運営面で規制を受けることが多いといったことが挙げられます。
最近では、株式や債券への投資で収益を確保することが難しくなってきたことから、その代替資産(オルタナティブアセット)として、不動産やインフラに対する投資に関心を持つ投資家が世界的に増加しています。
このため、投資家サイドでは、不動産とインフラを「リアルアセット」として一つの組織にまとめる動きがあります。
脚光浴びる太陽光
日本で脚光を浴びているのが、太陽光発電(メガソーラー)投資です。12年7月に電力会社による固定価格買取制度(当初1キロワット時40円〈税抜〉)が導入され、高い収益性が見込めることから、多くの企業が太陽光発電事業に参入しました。東証のインフラ投資市場へ上場するファンドも生まれ、実際の運営面でも、風・雪などの気候変動対策や除草などのノウハウが蓄積されてきています。
一方で、新設される太陽光発電所では、既に固定買取価格の引き下げが始まっており、太陽光パネルの価格下落やポートフォリオの組成(中古市場からの購入を含む)によって、どこまで収益性を維持することができるかが焦点の一つとなっています。また、「出力抑制」(その地域の電力の需給バランスを見て、電力会社の判断で、電力の買い取りを停止できる制度)への対応や「出口戦略」の想定も重要なポイントです。
インフラ投資の課題については、以下のような指摘がありました。1つ目は、国や自治体が開発段階(グリーンフィールド)の資金や老朽化施設の維持管理費を求める傾向があるのに対して、民間投資家は既に安定的な収益を生んでいるインフラ(ブラウンフィールド)への投資を望むというニーズのミスマッチングです。
2つ目は、空港や再生エネルギーなどの特定分野では民間投資が進みつつあるものの、道路や公的不動産(PRE)など、潜在的規模が大きい分野での進展がやや遅れていることです。
3つ目は、機関投資家などが投資できるような投資対象のストラクチャリング(仕組みづくり)です。
次週以降は、こうした課題認識を持って、更に有識者のお話をうかがっていくことにします。
























