〝家族信託〟に注目 大阪不コンサル協、研修で事例紹介 コンサル提案の幅広がる
住宅新報 2016年6月14日 号 3面

家族で早めに資産の処分・活用方法を考えることが重要(写真はイメージ)
「不動産の信託というと、ファンドの取引など大規模不動産の証券化をイメージすることが多いが、個人の財産(自宅など)管理にも有効な仕組み」。大阪府不動産コンサルティング協会副会長の米田淳氏はこう話す。
同協会では10年ほど前から不動産信託に関する研究会を立ち上げ、活用事例を積み上げている。昨年の研修会では、高齢化の進展で注目を集めている〝家族信託〟の事例を紹介した。
〝家族信託〟とは、委託者が特定の目的のために不動産や預金などの財産を、信頼できる家族(受託者)に託し、その管理や処分を任せる仕組み。
昨年4月に行われた研修会では、会員が手掛けた「信託を用いた不動産の管理・処分事業」事例を紹介した。これは、一人暮らしの母親が自宅から高齢者施設に転居したので、自宅を売却してその代金を母親の療養・医療費に充てたいという相談を子供から受けたもの。母親が近い将来、認知症になる懸念があったため、いったん家族(息子)に自宅を信託して売却する方法を提案した。
「売り急ぎ」避ける
通常、こうしたケースでは、母親の認知症発症や相続が起きるリスクを避けるために売り急ぎや、限られた時間で家財を整理することが多いという。今回のように信託を活用すると、「家族(子供)に時間や気持ちの面で余裕ができる」(同協会)こともメリットとなる。
また、同年9月に行われた研修会では、父親が亡くなり一人暮らしとなった母親(要介護3)と子供3人の相続対策としての活用事例が紹介された。問題点としては、父親が亡くなった時の相続税はゼロだったが、母親がすべてを相続すると、(1)2次相続で相続税がかかる、(2)母親が認知症になると自宅の売却は不可能、(3)母親は自宅に思い入れがあり元気なうちは売却できない――の3つがあった。
そこで、「委託者・受益者=母親」「受託者=長男」、権限は信託不動産の管理・運用・処分であり、信託終了後の残余財産は長男に帰属するとした。これにより、母親は元気なうちに自分で資産の承継先を決めることができ、仮に認知症になっても受託者である息子の判断で自宅の処分や活用が可能となる。
そのほか、高齢のアパートオーナーの資産管理対策として、家督相続と孫への資産承継としての活用案も紹介した。不動産の信託は、各家族の事情に応じて多様な使い方ができる。空き家対策にもつながるという。
同協会によると、「高齢者の財産管理目的以外にも、1つの土地に複数の地権者がいる場合に、信託を使って集約し、分譲することも可能。知っていると不動産コンサル提案の幅が広がる」という。
今後は、会員が活用しやすいように、これまでの事例を整理してモデルケースを提示していく方針だ。
























