点検・不動産投資 新成長分野への展開 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 ■3 「ヘルスケア」(2) 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント山内章社長に聞く 供給担うリートの役割高まる
住宅新報 2016年4月19日 号 3面
連載: 点検 不動産投資

山内章氏
(前号からの続き)
――(大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが資産運用を行っている)日本ヘルスケア投資法人では、投資家に利益超過分配を実施しています。
当リートの場合、保有施設の中で建物の割合が7割程度と高い。このため、建物の減価償却費負担が重くなり、分配原資となる利益が圧迫されてしまう傾向がある。一方で、施設内の設備や内装費用などはオペレーターが負担するため、投資法人が負担する修繕費は、躯体および主要構造部分などに限定され、税法上の減価償却費を下回る場合が多い。このため、投資法人の税引前当期利益に、減価償却費の一部(毎期の減価償却費の40%を上限)を合わせて、利益分配をしているものだ。
オペレーターが鍵
――ヘルスケアリート運用の重要なポイントの一つは、やはりオペレーターでしょうか。
その通りだ。そもそも介護付有料老人ホームなどのオペレーターの会社は7000社以上あり、圧倒的な大手が存在しない。
業界上位でも、そのシェアは4~5%だ。その意味では、個々の施設を担っているオペレーターの中には、未成熟な企業もあるため、的確なオペレーターを見極め、そこに施設運営を任せることが重要である。
当社では物件取得時だけでなく、取得後もオペレーターの厳格なモニタリングを行っている。事業収支や事故の発生状況などのチェックはもちろんのこと、半年に一度は必ず個々の施設長と面談する仕組みを構築している。
また、当社は複数のオペレーターと付き合いがあるため、それぞれの長短を生かしつつも、より良い施設の運営方法があれば、他のオペレーターにも取り入れてもらうように相談している。
――投資主優待制度も興味深いものです。
当リートのテナントであるオペレーターの協力で、投資主の方々に、入居一時金・居室料の割引、体験入居などの優待を実施している。会社によっては、これらの割引額が当リートの投資口価格を上回るものもある。
更に100万室必要
――最後に、御社の今後の運用方針についてお聞かせください。
有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅などの高齢者向け住宅の充足率は、現在のところ2%程度にとどまっているため、政府は20年までには3~5%に引き上げていく方針を打ち出している。これは更に100万室以上の高齢者向け住宅が必要になるということであり、市場の成長余地は大きい。
高齢者向け住宅を含むヘルスケア施設は社会インフラの一つだと考えているが、これまではその80%が個人の資産有効活用による供給だった。だが、これには限界があるし、政府が自ら施設を保有して整備することも、財政面の制約から難しい。
そうした中で、ヘルスケアリートの果たす役割はますます高まってくるだろう。当社としては、まずはリートでの運用に取り組んで実績を積み重ね、ノウハウを蓄積していきたい。また、今後は、病院やクリニックモール、製薬会社のR&D施設などへの投資も考えられるところだ。
やまのうち・あきら=86年丸紅(株)入社。03年パシフィック・インベストメント・アドバイザーズ(株)(現ADインベストメント・マネジメント(株))社長に就任。04年日本レジデンシャル投資法人(現アドバンス・レジデンス投資法人)執行役員、08年パシフィック・インベストメント・パートナーズ(株)(現クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・アセットマネジメント(株))社長などを歴任し、10年5月から現職。
























