「サ高住」第2ステージへ 学研ココファンホールディングス社長 小早川仁 ◇上 「差別化」と「質」の時代
住宅新報 2015年7月7日 号 3面
制度開始から4年近くが経ち、登録戸数が18万戸を超えたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。国土交通省の「あり方検討会」は4月、中間報告をまとめ、今後の方向性を探っている。リートの投資対象にもなってきた。そこで、同事業でトップクラスの学研ココファンホールディングスの小早川仁社長に、今後の市場を3回に分けて展望してもらう。
およそ5人に1人が75歳以上の後期高齢者。団塊の世代が後期高齢者と呼ばれる年齢に達するまで、あとわずか10年。それと同時に、核家族化に伴い、高齢者の独り暮らしや高齢者のみで暮らす世帯が増えている。これらの高齢者問題はますます増加傾向にあり、今後よりよい高齢者の住まいや介護のニーズは更に高まることが予測される。
少なかった選択肢
当社が高齢者福祉事業を始めたのは今から約10年前。既に少子高齢化が問題視されていた当時、高齢者の住まいは高額な入居金が必要な有料老人ホームか、定員の倍以上の人が入居待機している低額な特養ホームばかりだった。
サラリーマン世帯がこつこつ働いて定年を過ぎ、介護が必要となったときには、財産を投げ打って高額ホームに入るか、家族に負担をかけながらいつ入れるか分からない介護施設を待ち続けるかという二者択一しかなかった。
日本を支える多くのサラリーマン世帯が、慣れ親しんだ地域で安心して住み続けられる高齢者の住まいを供給したい。その思いで当社は高額な入居金がなく、厚生年金の範囲内で住み続けられる高齢者住宅の提供を始めた。
高齢者住まい法が改正され「サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」)」が制度化されたのは11年。サ高住の制度化は、高齢化が急速に進む中で高齢者の安定した居住を確保することを目的としたもので、当社が進めてきた低額な費用で、要介護になっても住み続けられる高齢者住宅のスキームはその参考モデルにもなった。
この時、政府は同時に「10年で60万戸」というサ高住の整備目標を立て、普及促進策として開発の助成金を用意し税制優遇措置も取ることになった。制度化から約4年になる現在、サ高住は全国におよそ18万戸整備されるに至った。
事業者の倒産増える
ところで、この1、2年で当社に紹介される高齢者事業のM&A案件の申し入れが増えている。また、今年5月の東京商工リサーチの発表によれば、高齢者福祉・介護事業の倒産件数が前年同期比6割増に上り、介護保険法が施行された00年以降で過去最多の数だという。
日本全体の企業倒産が低水準にある中、著しい増加である。多数の有料老人ホームやサ高住が増え続ける一方、こうしたM&Aや倒産の話も増えている。今後更にサ高住の数が増えていく中で、他社との差別化と質が問われ始めている。次回はこの「質」について触れていきたいと思う。
こばやかわ・ひとし=90年、学習研究社入社。02年、社内ベンチャーで高齢者向け事業を企画し、04年、学研ココファンを設立。08年、学研ココファンホールディングスへの持ち株会社移行に伴い、代表取締役に就任。このほか、傘下の事業会社3社の代表取締役および14年12月より学研ホールディングス取締役を兼任。


























