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プレミアム会員限定点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 「地方創生」シリーズ04「福岡」 地元と共存共栄の資金調達 福岡リアルティ代表取締役社長松雪恵津男氏に聞く(2)

住宅新報 2015年4月7日 号 5面

連載: 点検 不動産投資

投資
松雪恵津男氏

松雪恵津男氏

 ――福岡リートの投資家はどのような構成になっていますか。

 松雪氏 投資主は、投資信託を含む金融機関が全体の66.3%、その他法人が14%、外国法人が7.8%、個人が11.8%という構成比だ。投資主数で見ると、個人のうち、九州に住んでいる投資家は全体の2割程度だが、更に東京に住んでいても九州出身者であるとか、九州に親戚がいるというように、九州と縁がある投資家が同じくらいいるようだ。それを加味すれば、個人投資家の4割程度が九州関連であると言ってよいだろう。その意味では、地元の方々に支えられる中で、分配金などを通じて、地元にも還元できているように思う。

 ――借入金も地元の金融機関が中心ですか。

 松雪氏 有利子負債711.5億円(14年8月末)のうち、スポンサーである福岡銀行から11.5%、西日本シティ銀行から13.5%、それ以外の地方銀行から14.7%のシェアで借りており、合わせて約4割が九州を中心とする地元金融機関からの借入れとなっている。設立以来、地元金融機関との取引を増やしてきており、3年前には九州の全県の金融機関とのネットワークを構築することができた。

 地元金融機関にとってのビジネス機会にもつながっているが、リートの運用者としても、地元金融機関のネットワークを通じて独自の情報網を共有できるので、エリア投資戦略にも大いに役立っている。一方で、大手銀行との取引もあり、スポンサーである日本政策投資銀行をはじめ3メガバンクすべてに加え、りそな銀行、あおぞら銀行や各信託銀行ともお付き合いさせていただいている。

 このように、地元に対する投資という側面だけでなく、エクイティ(投資口)やデット(負債)による資金調達面においても、福岡リートは地元と共存共栄の関係が構築できているように思う。

 ――福岡市の街としてのポテンシャルはどこにあるとお考えですか。

 松雪氏 1つ目は、人口増加と人口構成の若さだ。バブル前からの過去25年間で福岡都市圏の人口は3割以上増加しており、13年1年間で見ても、福岡市の人口増加数は1万4456人で市区別で全国第1位であった。その多くが九州内からの移転の社会増によるものである。また、福岡市の若者率(15~29歳の人口の割合)も19.2%と全国第1位であり、17%前後の東京特別区、大阪市を凌駕している。こうした人口増と若さは、経済の需給だけでなく、街全体に活力を与えている。

 2つ目は、企業の進出と開業によるビジネス需要の高まりである。福岡市の開業率は4.1%(06~09年)であり、3%台が多い他の政令指定都市を上回っている。また、国際コンベンションの開催件数も、東京に次いで全国第2位である。アジアの主要都市と近いこと、福岡市の国家戦略特区指定も、こうした動きにプラスに作用している。最近は、ゲーム産業などの集積も始まっている。また、震災や津波などの天災が少ない地域でもあるため、BCP対応のためのオフィス床需要も高まっている。

 3つ目は、福岡市が都市としてコンパクトであることだ。都市機能が博多駅、天神を中心に集中しており、そこから網の目のように張り巡らされた鉄道、バスなどの交通網が広がっている。今も市内での開発が進んでいる。福岡空港や博多港と市街地中心部の近接性も、大きなメリットだ。

 ――地方創生のために大切なことは何でしょうか

 松雪氏 その地域の特性を最大限に生かしていくことが重要だと思う。そのためには民間の力をうまく活用していくべきであり、既存の発想や制度にとらわれずに、それぞれの地域に即した形で、柔軟に規制緩和をしていくことが大切だ。 (終わり)

 まつゆき・えつお=80年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。人事部参事役、管理部長を経て06年に福岡地所(株)へ出向。09年に福岡地所に執行役員開発事業本部副本部長兼ビル事業部長として入社。10年経理部長兼総務部・財務部担当。11年福岡リアルティ常務企画部長、12年常務執行役員を経て現在に至る。

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