のびる寿命 住まいは老後を支えるか ◇上 高齢者を孤立させない 〝我が家〟としてのサ高住
住宅新報 2015年2月10日 号 1面

国立社会保障・人口問題研究所の予測グラフ
日本シェアハウス協会の山本久雄会長は「シェアハウスを地域再生の要にしたい」という。特に、高齢者や若者、子育て世帯などが一緒に暮らす「多世代交流型」に力を入れている。昨年1月に開設した「リベストハウス吉祥寺」(東京・武蔵野市)は25歳以上を入居対象者とし、若年世代と、50~70歳シニアとの同居がテーマだ。
「年をとったら老人ホームしか行くところがない、というのは寂し過ぎる。それに誰だって、年寄りばかりが集まっているところなど行きたくない」(山本氏)
供給側の論理か
確かにそうだ。それなのになぜ、日本の高齢者施設は年寄りを一カ所に集める発想しかしないのか。高齢者住宅の仕事を全国で30年以上続けているコミュニティネットの高橋英與社長はその理由をこう説明する。
「高齢者のためというより、(介護サービスなどを)供給する側の論理になっているからだ。だから建物を見てもワンパターンのものが多い」
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、高齢者を〝施設〟に隔離するのではなくプライバシーを確保しつつ、〝我が家〟である賃貸住宅に安心して暮らすことができる〝終の住み家〟として登場した(11年10月)。これまでの供給戸数は全国で約17万戸(2月3日)にも達する。
当然外出も自由だから、いつでも地域住民らと接することができる。こうした利点を最大限活用し、高齢者を孤独にしないための工夫が始まっている。たとえば、東京建物不動産販売が運営する「コ―シャハイム千歳烏山」(東京・世田谷区)は、建物内に一般の人も利用できるレストランを設けている。
〝併設型〟に期待
東急不動産が田園都市線桜新町駅近くで計画しているサ高住は、同じ敷地内に一般向け分譲マンションを併設する。総戸数もほぼ同規模とし、双方住民の交流を図りたい考えだ。こうした併設型のサ高住が近年増え始めている。
超高齢社会を逆手にとり、高齢者と一般住民や子育て世帯が家族のようにつきあう楽しいコミュニティが創造できないか、それがテーマだ。分譲マンションに住む子世帯が、サ高住に要介護の親を呼ぶことができれば〝隣居〟を実現することもできる。そこで住民の助けも借りることができれば、今後増加が懸念されている〝介護退職〟を減らす手立てになるかも知れない。併設型は一つの社会実験といえるのではないだろうか。
国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、現在65歳以上の高齢者は約3400万人。ピークを打つのは40年頃(約3870万人)と見られるが、その後も50年に3770万人、2060年になっても3460万人と3千数百万人台が続く。しかも、全人口に占める高齢者比率は一貫して上昇を続け、60年にはなんと40%にも達する(グラフ参照)。
高齢者を特別扱いする発想を続けていたら、いずれは立ち行かなくなる。昔、日本の家には祖父母・父母・子・孫が当然のように同居し、それぞれの役割を果たしていた。
超高齢社会を克服するためには、そうしたかつてあった〝家族〟のつながりを、〝地域〟に拡大していくしかないのではないか。 (本多信博)

















