不動産取引現場での意外な誤解 売買編(75) 民法改正で廃止になる条文・規定はあるか
住宅新報 2014年12月23日 号 10面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 今までの売買編71~74回を読む限り、今回の民法改正については、約120年ぶりの大改正という割にはそれほど大騒ぎをするほどのことでもないように思えてきましたが、この感想は当たっていますか。
A ある程度当たっていると思います。今回の改正の目的は大きく分けて2つあり、1つは、この法律が明治29年に制定されたということで、時代の流れに合わなくなってきているため、それを今まで「判例ルール」で補ってきたわけですが、その判例の考え方を改正法の中に取り込む(条文化する)ということであり、もう1つは、法律の条文(用語)が一般国民に分かりにくいということから、それを分かりやすく、平易に表現するという目的です。
Q そうなると、場合によっては、現行の条文の内容が時代に合わないということで、廃止になるようなものもあるのではありませんか。もしあれば、具体的に知りたいのですが。
A 最も分かりやすい条文としては、総則編の「時効」に関する条文です。ご存知のとおり、債権の消滅時効は通常10年とされているのですが、その中に、全く時代に合わないような「職業別」の短期消滅時効を定めた条文があります。その中でも特に有名な条文は174条の1年の短期消滅時効の規定で、その第4号にある「旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料云々」という規定ですが、「職業」で区別するのはいかがなものかということから、全て削除し、新たにこれを5年ないし10年とする方向で検討がなされているようです。
Q その他にも瑕疵担保責任の規定のように、抜本的な改正がなされる条文もあるようですが。
A この規定については、原形をとどめないほどの改正で、「瑕疵」であるとか「隠れた」という用語は姿を消し、契約の目的物が「種類物」であるか「特定物」であるかを問わず、売主は瑕疵のない目的物を引き渡す契約上の義務を負っているので、瑕疵のある目的物を引き渡すことは売主の「債務不履行」を構成し、買主は売主に対し、修補の請求や代替物もしくは不足分の引渡しを請求することができるようにしようという改正なのです。この改正の考え方も、最近の「判例」の考え方をベースにした改正といえると思います。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























