不動産取引に活かすインスペクション 14 床の傾きは3メートルの測定距離を タクミプランニングサポート代表 一級建築士溝渕匠
住宅新報 2014年11月18日 号 15面
テレビ等で床にビー玉を置いて転がる様子などが住宅の不具合として放送されることも多いのですが、〝傾斜〟から考えられることはいろいろとあります。今回は、この〝傾斜〟について解説します。
目安は千分の6
インスペクターは主に「レーザーレベル」と呼ばれる検査機器を用いて、水平、垂直を確認します。そして、6/1000(1メートルの間で6ミリのレベル差がある)以上の傾斜がある場合には、「何か不具合がある可能性がある」と判断します。
営業マンの皆さんや一般消費者は、目視あるいは歩行感覚から傾斜を感じ取ることもあると思います。目視で明らかに傾いていることがわかる、あるいは歩いていて床の傾斜がはっきりと感じられる場合は、6/1000以上の傾斜があることが想像できます。
ここで知っておきたいのは傾斜測定の考え方です。床の傾斜については3メートル、壁については2メートルの測定距離を確保するということです。つまり局部的な傾斜ではなく、ある程度長い距離の間の傾斜を確認するということです。特に床などは部分的に床が沈んでいたりすることもあります。これは施工精度の問題や長期間重量物(ピアノやタンス等)を置いていたことなどが考えられます。もちろん建物としてよいコンディションとはいえないのですが、より気にしなければならないのは建物全体として傾いていないかということです。
方向の分析も
傾斜の値と共に注意しなければならないのは、傾きの傾向です。例えば同じ部屋でも場所により傾斜方向が異なっていることがあります。一方、建物全体として同一方向に傾斜していることもあります。
前者は建物が地震等でねじれた、あるいは施工精度の問題も懸念されます。また後者の場合は不同沈下と呼ばれる地盤の不具合が考えられます。
避けなければならないのは、局部的な傾斜だけをとらえてしまうことです。買主の立場としては、傾斜について敏感になるのは当然ですが、傾斜の値、傾斜の傾向からもいろいろなことが考えられることを丁寧に説明することも必要と考えられます。目視で傾斜が感じられる物件の場合はインスペクションを入れて、客観的な傾斜の傾向をつかむことが必要と考えます。



















