不動産取引に活かすインスペクション 12 タクミプランニングサポート代表 一級建築士溝渕匠 雨漏りの原因特定は避ける
住宅新報 2014年11月4日 号 11面
前回まで外壁・屋根など外部の確認ポイントを解説してきました。今回は内部の壁・天井について解説したいと思います。
まずは「壁にひび割れがないか」「壁に雨漏り跡がないか」「天井に雨漏り跡がないか」―この3点をチェックしてみてください。天井にひび割れがある場合もありますが、天井は上部から吊られており建物がねじれることでひび割れが生じます。天井自体が建物の荷重を負担しているわけではありませんのでチェックの優先度は下がります。ただ天井にひび割れが多ければそれだけ建物が変形したことが想像されます。
バランスに偏り
壁のひび割れについては外壁と同じく幅が0.5ミリ以上のもの、また長いひび割れにも注意が必要です。そして外部のひび割れの位置と一致しているかどうかという視点も重要です。もしそのような部分があればそこは変形が大きいことが考えられます。つまり地震に耐えるための壁の全体的なバランスがやや偏っていることが考えられます。
また内壁に雨漏り跡があれば、外壁のひび割れから浸入したことも考えられますが、屋根など離れた部分からの漏水の可能性もあります。いずれにしても壁内部を雨水が流れてきていますので躯体の劣化が進行している懸念があります。
天井に水染みがある場合は、頻繁に漏水しているか、あるいは台風等豪雨のときだけの漏水か、いろいろなケースが考えられます。
居住者に確認も
また雨水の漏水ではなく小屋裏での結露現象による水染みである可能性やハクビシンなど動物のし尿によることも考えられます。ですから居住者(売主)にヒアリングを行い情報を得ることはとても重要です。そして小屋裏を確認することができるのであれば天井の漏水跡の位置を頭に入れて天井下地や、その直上の屋根の状況を注意して確認する必要があります。逆に室内に明らかな漏水跡がなくても、壁や天井のクロスがめくれている現象が見られる場合は小屋裏など見えない部分で漏水や結露が発生している可能性があります。
最後に雨漏り跡があった場合、簡単に原因が特定できる旨の説明は避けたほうがよいと思います。漏水のルートを突き止めることは専門家でも簡単ではないからです。



















