「緑のカーテン」ゆらす MEMS ◇中 効率がいい〝地産地消〟 太陽光発電でパッシブ動かす
住宅新報 2014年8月26日 号 1面
連載: 「緑のカーテン」ゆらすMEMS

井戸からくみ上げた水を還流させている「ふれあいの池」――動力は太陽光発電
マンション大手の大京は早くから、パッシブ手法導入による集合住宅の省エネ効果について研究を重ねてきた。
グリーンカーテンが室内温度をどれぐらい下げることができるか、換気機能付き玄関扉で夜間冷気を導入すればエアコンを使用しなくても快適な室温を確保できるかどうか――などの実験である。
マンションのスマート化に欠かせないMEMSやHEMSを普及させるためには、コンピュータによる家電コントロールなどハイテク機器に頼るだけでなく、こうした自然の力を活用するパッシブデザインと融合させることが重要である。そのほうがマンション住民の結束力が強まり、省エネ意識を一段と向上させることにもつながるからだ。
大京と近鉄不動産が横浜市都筑区に開発したマンション「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」(総戸数221戸)は、パッシブデザインと〝スマート機器〟を融合した環境共生住宅としての魅力が功を奏し、昨年12月に販売を開始し、既に約7割が成約済みとなっている。
ビオトープがある〝ふれあいの池〟は、敷地内に設けた井戸からくみ上げた水を還流させ、メダカやタニシ、ヌマエビなどの生息に最適な環境を提供している。
敷地の3割緑地化
約100種類、3700本の樹木が植えられた〝ふれあいの森〟など、敷地の約30%が緑地化されている。池のせせらぎ、豊富な樹木による蒸散・冷却効果で創出されたクールスポットが気圧を変化させ、敷地内に涼しい風を発生させる。それを、扉を閉じた状態でも換気できる玄関ドアや通気ルーバーが付いた居室用ドアを通して各住戸に取り込むことができる。
一方で、同マンションは経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業」に採択されていて、「見える化」「デマンドレスポンス」「独自料金導入」「創蓄連携」(一括受電+太陽光発電システム・蓄電池)の4点が評価されている。
マンションの場合、太陽光で発電した電力を専有部に流すと、使用量が異なるため住民間の公平さが維持できるかという問題がある。その点、ここは電力を井戸水のくみ上げ、噴水やせせらぎ、植栽の水やりなどパッシブのための動力として使用している。
発電した再生可能エネルギーを最も効率がいい〝地産地消〟することで、共用施設の維持管理にかかる電気代と水道代を節約するという分かりやすい構図になっている。
大京建設統括部商品企画室の中山雄生・担当副部長兼商品企画課長はこう話す。
「入居開始は来年8月だが、その前に植樹祭などのイベントを通じて、ここでの暮らしやコミュニティへの愛着心を高めてもらおうと思っている。入居予定者には自然の生態系保存や、子供たちが自然にふれあうことを大切にしようと考えている人たちが多いので、入居後もビオトープ研究など様々なイベントを企画していきたい」
住民間に芽生えた省エネ意識に、〝自然〟を取り込むことで、そうした連帯感を一時的なものとして終わらせるのではなく、コミュニティの育成と併行した長期的な取り組みに深化させていくことが可能となる。 (本多信博) 続く

















