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プレミアム会員限定点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授田辺信之 「環境と不動産」シリーズ(28) 性能向上し省エネ化進むビル 戸田建設価値創造推進室開発センター副センター長樋口正一郎氏に聞く

住宅新報 2014年4月15日 号 5面

連載: 点検 不動産投資

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 「環境と不動産」シリーズ28回目は、戸田建設・価値創造推進室開発センター副センター長、樋口正一郎氏へのインタビュー後半。「CO2削減率が高まるほど費用対効果は低くなり、ハードルが上がる」という同氏に、環境活動の難しさや、建設会社が担う環境活動におけるポイントなどを聞いた。

 ――「戸田ビルディング青山」の環境性能アップでは、主にどのような部分がコストアップにつながったのでしょうか。

 樋口氏 CO2を40%削減できるように設計した当社の中規模テナントビル「戸田ビルディング青山」(東京都港区赤坂8丁目)は、設計図面を書き直す前の段階で、既に一般的な事務所ビルに比べて、25%のCO2削減を達成できていた。対比される基準年となる90年当時は、ほとんどのビルでエネルギーが大量に消費されていたという事情に加え、断熱性能や設備機器の省エネルギー性能が日進月歩で向上していることが大きな要因だ。

 現時点で建築される標準仕様の一般的なビルについてはおおむね、25%相当のCO2削減はそれほど難しいものではない。

 しかし、今回設計した40%削減の内、25%を超えた残る15%の削減となると、費用対効果も低くなり、ハードルが急に高くなってくる。約9億円に上った総事業費のうち約1割のコストアップのほとんどは、最先端の環境技術の導入に使われた計算だ。

 ――40%の削減目標に対して、どの程度の実績が出ているのでしょうか。

 樋口氏 「戸田ビルディング青山」は東日本大震災の起きた直後の11年3月に竣工したものの、地震による目立った損傷はなかった。とはいうもののテナント誘致では、一時的に空白期間が生じるなどやや苦労した面もあるが、なんとか1年かからずに満室にこぎ着けることができた。11年の夏は震災による電力不足に加えて猛暑にも見舞われ、「環境性能に優れたオフィスビルが注目を集めている」という趣旨で、テレビの報道番組でこの「青山」が紹介され、テナント誘致には追い風となった。満室となった12年からエネルギー消費の算出に取り組み始め、当初から40%削減という目標値を上回る実績を出しており、現在も安定稼働を続けている。

 このビルでは「エネルギーの見える化」にも取り組んでいるが、テナントの管理部門は省エネ効果を高く評価してくれている一方で、就業者全体で見るとまだまだ関心は低いようだ。

 ――御社は建築技術を生かして、全国各地で環境事業に取り組まれています。

 樋口氏 このほか環境に関わる事業活動としては、埼玉県から受注した「埼玉メディカルパーク」のエネルギーネットワークの構築、復興支援に位置付けた福島県川俣町での「過疎型スマートコミュニティ」の構築、浮体式洋上風力発電、当社が太陽光発電事業者となった長崎田手原メガソーラー発電所プロジェクトなど多岐にわたる。

 「埼玉メディカルパーク」では、敷地内の医療施設、職員公舎などの施設にコジェネレーションや太陽光発電をはじめとする省エネ、省CO2設備・機器を導入すると同時に、各施設間で電力、熱(冷水・温水)、情報通信等のエネルギーネットワークが構築されている。

 ――最後に今後の展望、課題をお聞かせください。

 樋口氏 一般的に、建設会社が排出するCO2のうち、約90%は施工段階の排出量が占めている。ここの削減は長期にわたる大きな課題だ。その達成に向けて、当社では低炭素施工システム「TO-MINICA」の運用を09年に試行導入し、10年から全国で展開している。

 総排出量の削減はもちろんのこと、施工高に左右されない「原単位」についても90年比で、20年までに40%のCO2削減を目指す計画だ。12年実績までは順調にCO2の排出削減が進んできたが、建設技術には省エネのための画期的な手法はなく、今後はより地道な努力の積み重ねが必要になってくる。 (終わり)

 ひぐち・しょういちろう=80年戸田建設入社。建築作業現場で施工管理、技術部門で現場支援業務を担当。07年建築企画部長、09年環境戦略委員会委員長を兼務、社内の環境活動全般に携わる。11年環境事業推進室長、常設の組織として環境活動の推進に加え自社の環境技術を社外へ展開する活動を強化。14年開発センター副センター長となり、旧技術研究所や旧エンジニアリング部と統合されることにより従来の活動を更に強化。11年4月より日建連(日本建設業連合会)環境委員会委員を務める。

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