点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授 田辺信之 「環境と不動産」シリーズ(26) サステナブルな経済・社会を追求 三井住友トラスト基礎研究所投資調査第1部長北村邦夫氏に聞く
住宅新報 2014年4月1日 号 5面
連載: 点検 不動産投資

北村邦夫氏
――環境不動産のベンチマークの必要性が指摘されています。
北村氏 当社は4年ほど前に国土交通省からの委託調査で、投資家の「環境・社会・ガバナンス(ESG)」を考慮した投資対象として環境不動産への理解を深めてもらう目的で、いかに少ないCO2排出量で効率的に収益を生み出せたかに着目し、収益と環境負荷の効率性を示す新しい不動産版ベンチマーク「リターン・オン・カーボン(ROC)」の試算を行った。ボストンコンサルティンググループが企業の収益拡大と環境負荷削減の取り組みを業種別に指数化したものを参考に、不動産への応用を試みたものだ。同一ビルの指数の推移をみることで収益と環境負荷の効率性の改善度合いを評価する際に有用なものとなった。一方で、立地による収益性の格差の影響を完全には排除できないために、ビル間の優劣の評価には限界があるという課題も浮き彫りになった。
環境不動産の収益性のプレミアムは、まだ市場での浸透度が低い段階では観測されるはずであるが、時間の経過とともに一定の環境性能が市場でのスタンダードになれば徐々に消滅していくだろう。環境不動産の経済価値の実証には多くのハードルがある。それでも今後、ESGの観点も考慮した不動産の投資・運用が増えるよう、投資家にとってより分かりやすいベンチマークの整備を急がなければならない。リターンを追求することはもちろん重要だが、リターンの果実を得る過程で環境負荷の低減を実現させて日本の経済や社会をよりサステナブルな構造に変えていくという視点がますます重要となろう。
























