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プレミアム会員限定点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授 田辺信之 「環境と不動産」シリーズ(25) Jリートは環境不動産の推進役 三井住友トラスト基礎研究所投資調査第1部長 北村邦夫氏に聞く

住宅新報 2014年3月25日 号 5面

連載: 点検 不動産投資

投資
北村邦夫氏

北村邦夫氏

 シリーズ25回目は、三井住友トラスト基礎研究所の投資調査第1部長である北村邦夫氏へのインタビュー前半。Jリートに代表されるように、関心の高まり、取り組みの深化などを踏まえて「環境不動産は実践フェーズを迎えている」と語る同氏に、課題や展望など聞いた。

 ――どのような観点で不動産の環境対応に関わる調査・分析に取り組んでいますか。

 北村氏 日本の投資家は不動産投資について、まだ環境・社会・ガバナンス(ESG)に対する意識が必ずしも高いとはいえないが、いずれ今以上に高まってくると確信している。そうなったときに、不動産投資を検討する機関投資家に的確な助言を提供できるよう、不動産の環境対応を調査・分析対象の一つとしている。その一環で、国土交通省が継続的に開催している有識者による環境不動産普及促進検討委員会の運営業務を当社が受託できたことで、国の施策や実務における環境不動産に係る問題点、対応策等の有識者の議論を俯瞰(ふかん)して認識できる状況にある。「環境不動産」の定義はまだ定まってはいないが、認知度や取り組みの普及度合いはかなり高まっており、既に実践フェーズに入ったと実感しているところだ。

 これまで環境不動産については、環境性能に優れたビルの賃料はどのくらいのプレミアムが付くか、どの程度空室率が低くなるのかといった不動産市場における実証的な経済価値の有無が議論されることが多いが、現実には新築ビルにおいて耐震性能に代表される安全性と共に優れた環境性能が経済価値の主流になりつつあり、環境認証の取得にも前向きさが感じられる。

 中でもJリート各社は、環境認証取得や環境対応についての積極的な取り組みをIRとして情報発信し始めている。海外や個人も含めて投資家の裾野が広いJリートが不動産の環境性能引き上げの推進役として、投資家やアナリストに情報発信し続け、その成果を分配金の形で示せれば、マーケット全体に対する影響も期待できるだろう。

 ――国土交通省の検討委員会ではどのようなテーマに関心が向けられていますか。

 北村氏 検討委員会では、様々な立場のプレーヤーが独自の環境対応事業を行っている中での先進的な取り組みや課題を広く共有して、今後の普及促進方策を検討することに主眼を置き、2つの大きなテーマが議論されている。1つは環境性能に関わる情報の可視化と流通をどのように進めていくのか、2つ目は既存ビルの省エネ改修投資を実現する方式の一つであるグリーンリースについてだ。

 環境性能に関する理解や評価を普及させていくために、内外で複数の環境性能指標がある中で、例えばCASBEEとLEEDの相違点や特徴を分かりやすく整理して発信していく必要性がある。また既存ビルにおいて環境性能を向上させる改修を促進するために、オーナーとテナントがWin・Winの関係を実現できる1つの有効な方式としてグリーンリースに注目し、その契約書のひな型についても検討されているところだ。3月に開催された今年度最後の検討委員会では傍聴者も多く、市場関係者の関心の高さがうかがわれた。

 ――実践フェーズとのことですが、そのほかに課題に思っていることはありますか。

 北村氏 資金の出し手である投資家やレンダーが環境対応にもう一段踏み込むと、普及に弾みがつくと思われる。説明責任を負っている年金などにしてみれば、環境不動産の社会的意義は認めつつも、それが長期の投資適格性を有していることを説明できなければならない。その意味では、エンドユーザーであるテナントや入居者が環境不動産の価値をどのくらい認め、相応の賃料を負担してくれるのか否かに帰結しよう。それも、地球温暖化やエネルギー問題、省エネ法改正などを経て、ユーザーの環境意識は年々高まってきている。エコカーの普及にみられたような政策の後押しがあれば、エンドユーザーの支持が拡大するであろう。そうした不動産のユーザーの動向について、投資家やレンダーにより理解を深めてもらえるように、我々が橋渡しの役割を果たしていかなければならない。(続く)

 きたむら・くにお=ゼネコン設計部勤務を経て1992年(株)住信基礎研究所(現(株)三井住友トラスト基礎研究所)入社。主に大規模面開発、まちづくり、住宅供給、産業振興、文化振興等のマスタープラン策定業務に従事。2002年より不動産市場および不動産投資市場の分析・予測・リスク評価に関する業務に従事。1985年京都大学大学院工学研究科建築学専攻修了。

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