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プレミアム会員限定点検 不動産投資 宮城大学事業構想学部教授 田辺信之 「環境と不動産」シリーズ(17) 今後の課題、環境認証の活用 森ビル環境推進室担当課長 武田正浩氏に聞く

住宅新報 2014年1月14日 号 4面

連載: 点検 不動産投資

投資
森ビル・武田正浩氏

森ビル・武田正浩氏

 ――街づくりでは、緑の成長を見越した緑地の再生を手掛けてきたということですね。

 武田氏 昨年竣工したアークヒルズ仙石山森タワーの開発では、日本生態系協会の協力を得て、初めてランドスケープに生物多様性の考え方を取り入れ、開発にあたって生態系の保全や回復に資する取り組みを定量評価する認証制度「JHEP」で最高ランク(AAA)を取得した。

 仙石山森タワーでは、ビオトープや枯れ木なども適所に配し、在来種や潜在自然植生を中心に可能な限り自然の環境を再現した緑地の確保、保全に努めた。生物多様性に基づいた自然環境は、昆虫や鳥など野生生物の生息も促す。この1年間に仙石山への鳥の飛来も多く観測されるようになった。今後は日比谷公園、浜離宮、芝公園といった周辺の自然環境とも結ばれる「エコロジカル・ネットワーク」の構築を目指していく考えだ。生物多様性の取り組みはまだ始まった段階で、今後の運用メンテナンスを通じて課題の抽出にも取り組んでいく。

 ――環境認証制度への対応はいかがでしょうか。

 武田氏 建築物の環境性能を計る指標として、日本でも多くの環境認証が普及してきたが、今後は既存ビルにおける環境対応がより重要度を増していくだろう。当社では日本の代表的な環境認証制度「CASBEE」において、大規模ビルはSランク、中小規模ビルはAランクの取得を目標にしているが、既存建築物の環境価値を市場価値に反映させていく目的で昨年始動したCASBEE不動産マーケット普及版でも9施設で先行認証を取得した。また東京都の環境確保条例によるトップレベル事業所認定の取得にも注力している。この認定は、一定の要件を満たす環境性能に優れた既存ビルを対象に、CO2削減義務を低減する優遇制度だ。既に7施設が優良特定地球温暖化対策事業所としてトップ・準トップの認定を受けている。

 この他、金融機関独自の環境指標やLEEDといった海外の認証制度などもあり、多様な認証指標が併存している状況にある。各認証共それぞれ特徴があるものの、環境価値に対する市場やテナントの評価がまだ定まっていない中で、ディベロッパーとしてどのようなスタンスで認証取得に臨み事業に落とし込んでいくかはまだまだ課題も多い。

 ――震災以降、省エネの「見える化」が定着しているようです。

 武田氏 テナントビルにおいて、その多くのエネルギーを消費しているのはテナント専用部であり、省エネ、省CO2にはテナントとの連携が不可欠だ。森ビルではテナントサービスの一環として、電力などのエネルギーの使用量が把握できる「エネルギーの見える化」システムを導入してきた。国や都へのエネルギー使用状況の報告や、東日本大震災以後ニーズが高まっている節電効果の確認などに活用されている。

 また築年数が経過している施設は、大規模修繕の時期を迎えており、それに合わせて空調機、エレベーターや照明器具などを省エネ性能の高いものに交換したり、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を導入するなど、順次バリューアップを実施し環境性能の向上を図っている。 (続く)

 たけだ・まさひろ=1992年東京理科大学理工学研究課機械工学専攻修了。ゼネコン勤務を経て2000年森ビル(株)入社、設計部門にてオフィスビル等の設備設計・監理に従事。2008年7月環境推進室発足と同時に異動、現在に至る。

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