細野透×殿木真美子 旬な作品=住宅レビュー= (37)レーベンリヴァーレ横濱鶴ヶ峰ヒルズ タカラレーベン
住宅新報 2011年9月20日 号 12面
連載: 旬な作品 住宅レビュー
戸別太陽光に蓄電池付き 省エネと割安感で販売好調
タカラレーベンが6月下旬、和光市に竣工した「レーベンハイム光が丘公園」は、戸別太陽光発電システムを導入し、2カ月で全110戸を完売した。
その第2弾となる「レーベンリヴァーレ横濱鶴ヶ峰ヒルズ」(総戸数99戸)は、戸別太陽光発電に加え、戸別に蓄電池をセットした物件。地上5階地下1階建て、横長の外観を持ち、起伏の多い横浜の丘の上に建つ。
システムとしては、まず1戸につき6枚の太陽光パネルが割り当てられ、そのパネルで発電された電力が、直接各家庭に供給される仕組み。余った電力は蓄電池に充電され、それが満タンになったら、余剰分は電力会社へ戸別に売電することができる。
この蓄電池はいつでも使えるというわけではなく、あくまでも非常用。災害時には蓄電池によって3~4時間程度の電気をまかなうことができるという。
JX日鉱日石エネルギーが開発した「ENEOSマンション向け戸別太陽光発電システム」を採用し、年間予測発電量は約1476キロワット。太陽光で発電した電力の半分を売電できたとして、月4千円程度光熱費のコストダウンが見込めると試算している。
ただし、共用部の電力には未対応。出力保障は10年間、耐用年数は10~15年。メンテナンスは原則フリーだが、パネルの清掃などのコストとして管理費に月数百円が上乗せされている。
ところで、蓄電池にはリチウムイオン電池と鉛電池の2種類がある。リチウムイオンは爆発の可能性がゼロではないため、消防法などに抵触し、今はまだマンションの各戸に設置することが難しい。そのため、今回は鉛電池を使用し、各戸の玄関前廊下に置かれる高効率給湯器「エコキュート」の下に設置される予定。大きさは「ランドセル2個分」程度だという。
本システムの設備費用が販売価格に転嫁されているのか、の問いに対して、タカラレーベン建築部の加門秀文氏は「市場のエリア価格内で対応可能な事業組み立てを図り、本システム装置の導入による割高感を与えない価格設定に腐心した」と言う。物件価格は66~84平米で2500~3800万円台。横浜市広域で物件を探す一次取得者層が主要なターゲットで、横浜市内の競合物件と比べても安価である。
立地は、相模鉄道線西尾駅からバスを利用するか、同線鶴ヶ峰駅から徒歩27分と遠い。更に、徒歩ルートはかなりの坂道である。それでも6月から販売を開始し、モデルルームへの来場者は週に20組程度。月3戸程度の売り上げを見込んでいたが、毎月10戸と、予定の3倍ペースの売れ行きだそうだ。
「価格の安さと戸別太陽光の話題性で来場者が増えたが、契約の決め手は明らかに戸別太陽光。震災以降、太陽光発電へのニーズの高まりを肌で感じる」と、タカラレーベン第1営業部3課課長の岩本大志氏は語る。
今回発売される全99戸は敷地の北側に建つ。南側には2棟目(5階建て、59戸)と、戸建て36戸が来年の竣工を予定しており、それらにも同システムの導入が決まっている。
現在、第1期2次を販売中で、設計はヨモプランニング、施工は大和小田急建設。竣工は12年3月上旬を予定している。
同社では、今後も戸別太陽光発電システムを取り入れた物件を随時供給する予定で、埼玉県戸田市美女木にも計画中。戸別蓄電池併用物件についても、積極的に対応していきたいとしている。 (殿木真美子)
とのき・まみこ=住宅ジャーナリスト。「ゆとり生活」をテーマとする雑誌の編集者を経て、05年から住宅分野に注力。新築・中古を問わず、年間数十件ベースでマンションを取材。『主婦目線』を心掛ける。

















