細野透×殿木真美子 旬な作品(85) 再開発の町の新タワー 地域の防災性向上がテーマ 「サウスゲートタワー川口」 東急不、三井不レジ 旬な作品 住宅レビュー
住宅新報 2012年9月4日 号 10面
連載: 旬な作品 住宅レビュー

手前が公開空地、ガラス張りの低層棟が商業・業務棟。奥がマンション外観
かつての鋳物工場の町・埼玉県川口市は、工場の撤退などによってここ10数年の間に駅前再開発が進んだ。駅前には商業施設や公共施設が集積し、タワーマンションの相次ぐ建設によって世帯数も大幅に増えて、近代的な都市へと様変わりした。
そんな川口で、また新たな再開発が計画されている。「サウスゲートタワー川口」(埼玉県川口市金山町12)だ。
JR京浜東北線の「川口」駅東口から徒歩9分。総戸数360戸(うち非分譲13戸)、地上31階地下1階建てで、1階に子育て支援施設が入居予定のタワー棟と、商業施設やクリニックモール、また鋳物の町・川口ならではの産業の育成を目指した次世代産業育成施設などが入る商業・業務棟(地上2階建て)からなる。
これまでの再開発物件がそれぞれ川口の町に寄与する目的を持っていたように、本物件にも大きなテーマがある。それは、「地域の防災性向上」である。
本物件が建つ約8500m2の敷地は、元は工場と木造住宅の密集地だった。タワーマンションが建つことで道路の拡幅整備、オープンスペースの確保、建物の不燃化が実現する。ちなみにタワー棟は、間柱にハニカムダンパを組み込んだ制震構造を採用している。
また、市と「帰宅困難者等の受け入れに関する協定書」を締結し、地域住民や帰宅困難者などの一時滞在の受け入れが可能なマンションとなっているのも大きな特徴だ。
そのために、タワー棟1階と公開空地に、それぞれ地域住民が利用可能な防災倉庫を設けている。公開空地には、マンホールトイレやかまどベンチのほかに、シートをかぶせると屋根を作ることができる防災パーゴラも整備され、地域の防災拠点としての機能が揃う。
もちろん、居住者のための防災機能も充実している。
大型の非常用発電機には、1950リットルと大容量の燃料を用意。常用・非常用・タワーパーキングなど計4台のエレベーターのほか、給水ポンプ、共用部の照明などを3日間稼働させることができる計算だ。
水は、各戸に備えたエコキュートと受水槽合わせて、居住者一人当たり約7日分の生活用水が確保される。
タワー棟には地下1階と5フロアごとに1つの計7箇所に防災倉庫を用意。モデルルームに全ての備品が展示されていたが、小型のガス発電機や災害用浄水器、折りたたみ式のリヤカーまであり、かなり充実していると感じた。
元々、防災性向上を大きな目的とした再開発であったが、昨年の震災を受けて新たに見直した内容として、非常用発電機の燃料の量、防災倉庫の中身や数、敷地の液状化対策などがあるそうだ。
第1期販売は11月中旬、価格は未定だが、同売主による駅東口徒歩4分の「イーストゲートタワー川口」(10年竣工)の分譲時平均坪単価214万円を目安に検討している。主なターゲットは川口市近辺に住むファミリーで、65~70m2の3LDKが主力となっている。
設計はジーエー建築設計社、施工は鹿島建設。竣工は14年3月下旬を予定している。 (殿木真美子)
とのき・まみこ=住宅ジャーナリスト。「ゆとり生活」をテーマとする雑誌の編集者を経て、05年から住宅分野に注力。新築・中古を問わず、年間数十件ベースでマンションを取材。〝主婦目線〟を心掛ける。

















