細野透×殿木真美子 旬な作品 住宅レビュー (83) 六本木3分で公園隣接 北と南でプラン構成に工夫 「ブランズ六本木」 東急不動産
住宅新報 2012年8月21日 号 10面
連載: 旬な作品 住宅レビュー

落ち着いた公園に隣接したモダンな雰囲気の建物外観
六本木は、今最もエネルギーに満ちあふれたまちといっていいだろう。大規模な商業施設、オフィスが集まり、現在もそこここで再開発事業が進んでいる。
六本木ヒルズを皮切りに、「住む町」としても変貌を遂げた。その足元には毛利庭園、東京ミッドタウンの裏手には港区立檜町公園があるなど、意外に緑も多い。
また、美術館が多いのもこの町の魅力である。
東京メトロ日比谷線「六本木」駅から徒歩3分という立地に、地上5階地下1階建ての「ブランズ六本木」(港区六本木7丁目)が建設中だ。
六本木交差点からも約3分だから、さぞかし賑やかな場所かと思いきや、六本木通りから1本入っただけで、昔ながらの住宅街。しかも、敷地は港区立六本木西公園に隣接している。入り口に武家屋敷のような門がある、日本庭園風の緑深い公園だ。
マンションの敷地は東西に長く、東側は道路、北側は公園に接している。ただし、南には集合住宅、西には戸建て住宅が迫っており、南と西の日当たりや眺望は望めない。
そこで、南側は30~40m2台のコンパクトタイプ、手前に公園の緑、奥に東京ミッドタウンを眺める北側は60~70m2台の2~3LDKをそれぞれ中心に据えた。つまり、北と南でタイプが全く異なる住戸を並べたのだ。
総戸数88戸でプラン数は44タイプ。方角によって下は26から上は107m2まで、これだけのバリエーションを揃えるのは、さぞかし非効率だろうといぶかったが、東急不動産住宅事業本部商品計画部の芳山明秀係長の話を伺って得心した。真相はこうだ。
(1)北側は日影規制があり階高が不揃いなため異なる間取りにせざるを得なかったこと、(2)敷地面積によってはコンパクトのみ、もしくは超高級物件だったかもしれないが、ちょうどその中間の約2100m2という広さだったこと、そしてなにより(3)「立地の優位性から、ターゲットを絞り込むのは得策でないと考えた」(芳山氏)、つまり、六本木徒歩3分の利便性を求めるあらゆるニーズに対応できる商品構成としたのだ。
マンションの商品企画はまず立地ありきで、その立地に対するニーズを想定してターゲットを絞り込む。六本木に住みたい層は様々なはずで、考えてみればこの豊富なバリエーションも当然かもしれない。
コンパクト中心の南側は、セカンドハウスや投資目的の層を、2~3LDKの北側は実需目的の実年層をターゲットとした。
では実際の反応はどうかというと、北側住戸に対してはほぼ想定どおりだったが、南側は思ったよりセカンドや投資目的が少なく、30代から60代まで幅広く実需の検討者がいるという。
引き戸を多用した間取り、収納量の多さや配置の工夫、また日照の望めない西側に地下1階と地上1階のメゾネット住戸を2戸(99、107m2)設けるなど、プランブックを一つひとつ眺めるのが楽しい物件。
東急グループ各社の施設等が優待価格で利用できる「ブランズサポート」のほか、ソフトサービスが充実していることも付け加えておきたい。
第1期販売は8月下旬、平均坪単価は410万~420万円を予定。設計・施工は清水建設。竣工は13年2月下旬を予定している。 (殿木真美子)
とのき・まみこ=住宅ジャーナリスト。「ゆとり生活」をテーマとする雑誌の編集者を経て、05年から住宅分野に注力。新築・中古を問わず、年間数十件ベースでマンションを取材。〝主婦目線〟を心掛ける。

















