細野徹×殿木真美子 旬な作品=住宅レビュー= (51)ブリリア多摩ニュータウン 東京建物
住宅新報 2012年1月3日 号 13面
連載: 旬な作品 住宅レビュー
多摩NT初の建て替え 多世代が交流する『町』に
60年代、都市への人口流入による住宅の受け皿として、大規模に開発された多摩ニュータウン(多摩NT)。その第1号物件である「諏訪二丁目住宅」への入居が始まったのは、1971年だった。
それからちょうど40年。多摩NT初の団地建て替え事業も、まさにその諏訪二丁目住宅から始まろうとしている。
元は6万4399平米の敷地に640戸、専有面積一律48平米の団地が23棟並んでいた。しかし、建物の老朽化に加えて、エレベーターがなくバリアフリーでもないつくりに不便を感じ、建て替え計画が持ち上がったのは実に20数年前。それから20年以上経った今、ようやく団地は「ブリリア多摩ニュータウン」として生まれ変わろうとしている。
同世代が一度に住み始めたことによる入居者の高齢化や建物の老朽化により、住宅地としての活力を失いかけていた多摩NT。再生の第一歩となる本プロジェクトは、「多世代間の交流」がキーワードとなる。
京王相模原線京王永山駅、小田急多摩線小田急永山駅より徒歩7分。建て替え計画を受けて50%だった容積率が150%に緩和されたため、地上14階地下1階建てなど7棟構成、総戸数1249戸(うち地権者住戸565戸)と、戸数が約2倍、地権者への還元率は100%となった。
物件の特徴については、東京建物住宅商品企画部課長代理の木村満宣氏がこう語る。「我々ディベロッパーが企画する際は、ターゲット層を絞り込み、その層だけに向けた商品となる傾向がある。今回は、30代ファミリーをターゲットとしながらも、地権者の方の意見を取り入れたことで、幅広い世代に対応できるマンションとなりました」
地権者の意見が生かされたのは、まず配棟計画。広大な敷地に対して、コの字型など様々な意見が出たが、「団地と同じ配棟がいい」と地権者から声が上がった。
一般的に団地型配棟は、南向き住戸が多く、棟と棟の間は広く風が抜けるため、通風・採光に優れる。
本物件では、敷地の南北を貫く中央貫通道路を隔てて、既存樹を残した西側に3棟、小高い丘状になった東側に4棟、間隔をそれぞれ50~84メートル離して団地型に配置。結果、98%が南向き住戸となった。
共用部分では高齢者支援施設、クリニック、月貸しの家庭菜園のほか、各棟の自転車置き場にベンチを設けるなど、地権者からの声を受け、実際の暮らしに即した施設を備えた。
ほかにもファミリーを呼び込むための保育所、コンビニ、ドッグラン、スタディサロンなどを設け、利便性の向上と共にコミュニケーションを促す仕掛けも各所に施している。
また、コミュニティ支援機関と提携し、イベントやサークル活動の促進なども計画されている。
価格は57~95平米が2600万円~4700万円(第1期)。反響は大きく、特に世代のバランスがよいことが大きな特徴だそうだ。
「当初は高齢者支援施設の設置などを不安視する向きもありましたが、結果的にそれによって幅広い世代の方が『これは私のためのマンションだ』と感じられるようで、高い評価を頂いています」(木村氏)
設計は松田平田設計、施工は三井住友建設、第1期販売は3月下旬から、竣工は13年8月下旬を予定している。 (殿木真美子)
とのき・まみこ=住宅ジャーナリスト。「ゆとり生活」をテーマとする雑誌の編集者を経て、05年から住宅分野に注力。新築・中古を問わず、年間数十件ベースでマンションを取材。『主婦目線』を心掛ける。

















