悪徳不動産屋の独り言 第145回 やりきれない引っ越し立ち会い 敷金返還巡り立場が逆転
住宅新報 2012年4月3日 号 5面

先日、ある退去者の引っ越しに立ち会った。私の賃貸仲介管理業23年の中で、それは最悪のものになった。引っ越し後の室内の様子ではなく、立ち会いに来ていた連中(5~6人の男)が、である。 退去したのは88歳の老婦人。本人はもう移転先に行っていて不在。到着するとリーダー格と思しき50歳前後の男が「長い間お世話になりました」でもなく、自分は名乗らないままいきなり、「あなたの従業員証明書を見せてください」と言う。「客が見せろと言ったら直ぐ見せるよう宅建業法で決まっていますよね。明らかに違反ですよね」とも。
想定外の要求
確かに、そう言われればその通りだが、入居時の契約も更新契約も私が行っていたことは入居者もその娘たち(60代後半)も当然に知っている。だから退去する段になって、「従業員証明書を見せろ」などと言われることは想定外で油断していた。更に男は「敷金は全額返してもらえるんですよね。今時クリーニング代を差し引く業者なんていませんよ」と言う。「契約書を見せてください」とも言うが、「それはお渡ししてありますし、持ってきてはおりません」と言ったのだが、要求通り「従業員証明書」を取りに帰るついでにコピーして渡した。往復で30分のロスにはなったが仕方ない。私が持参していないことを承知で言っているんだろう。

















