住宅系の新築不動産物件では建築物の付加価値を上げるために、キッチンや水回りに輸入設備機器を導入するケースが少なくありません。確かにデザイン性に優れた輸入機器はカタログ映えしますし、展示場に来場した奥様方を取り込むには優れたツールといえます。しかし、住宅は数十年住み続けるもの。設備機器の寿命は長くても10年程度です。リプレースやメンテナンスはどうするのか。
筆者も若い頃にはデザイン性や機能の面から多くの外国製品を使用しました。当時は、国産機器のデザイン品質や性能が低すぎたのが導入の理由でしたが、今回は実際に導入してみてどうだったのかについてです。
まずはクックトップです。クックトップとはガスまたは電気の熱源が2~4口あるコンロのことです。メーカーとしてはドイツ製、フランス製、アメリカ製がありました。多くはオーブンと組み合わせて設置するようになっており、外国在住経験の多い商社マンや大使館関係者などの住宅では多く採用されました。
米国製は大ざっぱ
ドイツ製とフランス製が人気で、アメリカ製は作りが大ざっぱで色合いも日本人好みではなく、あまり人気はありませんでした。ドイツやフランスの製品はDIN規格に基づいて設計されており、ビルトインキッチンの設計が容易であったため、多くの設計に採用しました。
さて、10~20年経ってみての評価ですが、やはり輸入代理店がいずれも弱小で、いつの間にか会社ごと、ブランドごと転売されていて、自然消滅するブランドも少なくありません。メンテナンスだけは小さな設備会社が受け継いでいる例もありましたが、部品などの入手は困難です。また、海外メーカーが直接販売しているように見えるケースでも、実際には商社や設備機器会社、異業種の輸入車販売会社などが運営しており、利益次第ではドライに撤退してしまいます。その結果、多くのユーザーが取り残されたわけですが、そこに目をつけた国産メーカーが少ない種類とはいえ、代替品を用意してくれたことは救いです。
冷蔵庫についてはGEやワールプール、カゲナウ、ミーレなどが多く輸入されていました。ビルトインキッチンの規格である600ミリ幅を豊富にそろえていたことから、設計でも多く採用しました。しかし、GEやワールプールなどの米国製はよく冷えるのですが、音が大きく、電気代が掛かるという弱点がありました。
カゲナウなどのヨーロッパ製品は音も静かで、電気代もそこそこであり、重宝しましたが、その後の国産冷蔵庫の進化はすさまじく、現在では新規やリプレースでも国産から選ぶことが増えています。
今まで輸入設備機器で最も苦労したのが洗濯機です。キッチンや洗面のデザインで見た目を重視すると、パンパンに膨らんだ布団袋のようなデザインの国産洗濯機を選ぶ理由はなく、アンダーカウンターにピッタリ収まるヨーロッパ製の洗濯乾燥機一択でした。しかし、いずれの輸入洗濯機も故障が多く、だいたい6年くらいで交換する必要が生じます。しかし、アンダーカウンターに設置できる国産洗濯機はなく、再度輸入機器にリプレースすることで、負のスパイラルに入るということが続いています。
輸入設備機器についての結論は、代理店の確実性とアフターメンテナンス体制の確認、そして代替機が設置できるようなプランニングにしておくことです。
(建築家・中村義平二)


















