幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 73/100 住まいが幸福に占める割合 「敷居をまたげば七人の敵」
住宅新報 2020年1月7日 号 15面
連載: 幸福論的「住宅論」

家は単なるハコとか器、あるいは設備などの性能で語られるべきものではなく、一晩あるいは一日居れば心が癒やされ、体中にエネルギーが満ちてくる杜(もり)のごときものでなければならない。また、最も深い情愛で結ばれた家族を守るという意味では戦国時代の居城のごときものでもある。
家は居城
住まいが幸福に占める割合はどれぐらいだろうか。幸福とは何か、の議論が必要だが、「自分らしく主体的に生きること」が幸福だとすれば、住まいはまさにそのための居城のようなものである。 人間が自分らしく生きるために寄って立つもの、それが〝家〟である。日本の伝統的な在来工法による家造りにちなんだ精神文化に「男が敷居をまたげば七人の敵」という言葉がある。これを現代風に解釈すれば「家を出れば、外は敵ばかりだから油断をするな」ということになる。
解剖学者の養老猛司氏はこう言う。「都会は他人が作り出した人工物に満ちている。他人の脳が作り出した人工物の中にいるということは、他人の脳の中にいることに等しい。だから都会は疲れる」。

















