幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 63/100 社会資産となる道 ハードで捉える愚かしさ
住宅新報 2019年10月8日 号 13面
連載: 幸福論的「住宅論」

住宅が良質なストックとして流通するためには、住宅をハードではなく、ソフトとして捉える市場の形成が不可欠となる
経済が低成長時代を迎え、不動産市場がストック活用時代に入ると、住宅を個人の資産としてだけでなく社会資産として捉えようという動きが顕著になった。しかし、そこは少し無理があるのではないか。なぜなら、住宅が個人の資産という枠組みを越えて自由闊達に流通していくためには、その資産価値(流通価格)が流通コストを差し引いても、多少の売却益を確保できる程度に安定していなければならない。しかし、現実は一部の高級マンションなどを除けば、そのような物件はきわめてまれである。
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なぜだろうか。それは日本では新築のときこそ一番価値があって、時を経るに従い価値が落ちていくというのが住宅に対する一般的評価だからである。一部の超人気物件がその法則外にあるのは、超富裕層のステータスであるとか、購入動機に投資性が加味されているような場合であろう。ただ、それも築30年、40年となっていった場合、果たしてどうなのか。

















