一条工務店 防災科研 耐水害住宅商品化へ 災害後の暮らしの質確保
住宅新報 2019年10月8日 号 12面
公開実験の開始に当たり、林理事長は「各種の対策の有効性、住宅におけるリスクの明確化、対策の標準化を行って、水害に強い日本になれば」と抱負を述べた。岩田社長は「災害から生命を守ることはもちろんだが、大きな課題として突き付けられているのが災害後の暮らしの質。生命が守られても、家がそのまま住める状態でなければ、その復旧には相当の経済的、精神的な負担が生じる」と耐水害の意義を説いた。
実験施設内に幅30メートル、長さ40メートル、深さ3.5メートルの大型水槽を設置。そこに一条工務店が実験棟の戸建てを建築。一般仕様と耐水害仕様の住宅は同じ間取りで、床面積は1階が56m2、2階が53m2となる。
一般仕様は在来工法。耐水害仕様は枠組み壁工法(2×6工法)で(1)基礎換気口、(2)壁面、(3)窓開口、(4)玄関扉、(5)排水管逆流防止弁、(6)貯湯タンク、(7)室外機、(8)外部コンセント、(9)パワーコンディショナー・蓄電池――に、浸水・逆流・水没対策を施した。具体的には、基礎換気口の内側のボックスにフロート式の弁を設けて床下浸水を防止。窓には水圧に耐えるように5ミリ厚の強化ガラスを採用すると共に、すき間からの浸水を防ぐために自動車ドアの技術を応用した中空パッキンを使用した。更に、外部の電気設備などは水没しない高さに設置した。
実験時間は62分。1時間300ミリ相当の豪雨、3トンの土で泥流を再現し、住宅周囲の水位は床上に達した。一般仕様では屋内に浸水し、リビングのソファやテーブルが浮いた。一方、耐水害仕様は床上・床下への浸水、窓からの流入はなく、実験後も電気温水器や床暖房、エアコンなども機能した。
同社の開発責任者である萩原浩氏は「耐水害仕様は十分効果があることを証明できた。使用した技術は少しの工夫と努力で実現できる」と手応えを述べると共に「コストを掛けては普及しない。費用対効果を考えて、負担の少ない形で製品化したい」と説明した。同社は耐水害仕様住宅の年内の商品化を目指しており、価格は同社の標準仕様よりも50万円程度高くなる見込みだ。



















