新トップ登場 地盤ネット 伊東洋一代表取締役CEO 地盤解析土台に住宅供給へ
住宅新報 2019年8月27日 号 10面

伊東代表取締役CEO
――日本の住宅に関する地盤の課題は。
「最低基準の建築基準法を守っていればいいという根強い風潮がある。地盤対策は震災が起これば取り組むが、時間が経てば忘れてしまう。スウェーデン・サウンディング試験(静的貫入試験)や微動探査など、それぞれの方式でできること、できないことをしっかり説明できないといけない。今後、設計者や売主の責任はますます厳しくなるからだ」
――経営理念や方針は。
「理念は生活者の不利益解消。まずは地盤の世界でしっかりと『見える化』を行い、危険な場所を事前に確認することが大事だ。地震が起きると、家屋の倒壊や河川の氾濫による浸水などが起き、最後に涙を見るのは消費者。ハザードマップで『見える化』をして、住宅建設予定地の地盤特性を設計責任者やハウスメーカーが発信できるように、地盤会社として『見える化』の手段を提供している」
――近年の主な取り組みは。
「解析数が拡大し、公開データと重ね合わせることができるようになった。ウェブ上で地盤情報が閲覧できる『地盤安心マップPRO』を提供している。住み替え提案として、地盤の安全性を視覚化した『ジバングーマップ』も提供している」
「15年から当社の地盤補償の対象となっている物件入居者のために、会員制の『地盤ネット倶楽部』を展開している。入会費や年会費は無料。地盤や震災、地盤被害からの住宅復旧等の相談に対応している。当倶楽部では童話『3びきのこぶた』をアレンジしたキャラクターを販促用ツール等に採用した。子供から大人まで親しみやすさをもって情報を提供したい」
――住宅事業本部設立の背景は。
「地盤の詳細な調査を展開してきたが、地盤会社が地盤を見極め、地盤特性に対応した『地盤適合耐震住宅』を世に広める活動をしている。新築だけではなく、既存住宅へのメニューも取りそろえた。自社でつくるのは実物をつくり、手本を示し、普及させたいという思いから。地盤調査等を求めてくるビルダーや工務店に対して『地盤適合耐震住宅』の考え方を提唱するためには実物が必要になる」
――調査のほうも精力的。
「6月の山形県沖を震源とした地震では、山形県鶴岡市や新潟県村上市で現地調査を行った。当社の微動探査システム『地震eye』は揺れやすさが分かるので、その手法で調査を実施した。今回は震度6の割には被害が少なかったが、それは地盤が固く、揺れにくかったから。当社では調査結果を数値化でき、平時のときに測った特性が地震のときにも表れる。今回は地震が起こった後の推定だが、実際に起こった地震が同じ傾向を示していた」
――京都大学との共同研究も行っている。
「大学が開発した倒壊シミュレーション『ウォールスタット』と、当社の調査報告を合致させて具体的な地震対策に役立てたい。エンドユーザーにとって構造の話は難しいもの。『ウォールスタット』は目で見て動画で訴求できる。自分の家が地震に遭った際にどうなるのかがすぐに分かる」
地盤事故ゼロへ
――仕事への信条は。
「私はもともと住宅会社出身。地盤と基礎と構造を一気通貫で考えたいが、それぞれでトータルプロデュースする仕組みになっていないのではないかと違和感を覚えていた。地盤を知ることは設計者の責務だと考えていた。私自身は徹底的な現場主義。自分の目で見て、エンドユーザー、ビルダーに『見える化』を説明していくことにこだわりたい。机上の空論は今の住宅事情に合わない。こういう考え方が最終的に生活者の不利益解消につながるのではないか。最終的なゴールは地盤事故ゼロだ」

















