居酒屋の詩 (40) 東風(こち)吹かばにほいおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな
住宅新報 2019年3月5日 号 13面
連載: 居酒屋の詩

今頃の季節になると、かつて京王線笹塚駅前の商店街にあった居酒屋「千歳鶴」を思い出す。きっぷのいい女将さんは花が好きで、いつ行っても季節の花が飾られていた。特に春先には、分厚いヒノキの一枚板でできたカウンターと、その上に置かれた梅の盆栽がよく似合っていた。北海道の蔵元から樽ごと直送されてくる「千歳鶴」が自慢の店で、その酒を一口飲めば、その日の仕事の疲れが吹っ飛ぶほどうまかった。店が閉められてから、そろそろ1年が経つ。あの梅の盆栽はどうなっただろうか。今年もいい匂いを放っているだろうか。
上掲は、菅原道真(845~903年)が権力争いに破れ、九州大宰府に流されることになり、いよいよ京都の屋敷を離れる際の歌。

















