ダイキンと東大が〝協創〟 空気の価値化で技術創出へ
住宅新報 2019年1月1日 号 12面

五神総長(左)と井上会長
ダイキン工業(大阪市北区)と東京大学は昨年12月17日、共同研究や人材交流などを推進する包括的な「産学協創協定」を締結した。東大の五神真総長は「包括総合的な分野をカバーする東大と、一点突破で集中しているダイキンの違いを組み合わせることが非常に面白い。新しいものを生み出すには異質な者を組み合わせることが重要」と協定の意義を説いた。
両者は同協定に基づき▽「空気」に関わる未来ビジョンの協創▽「空気の価値化」を軸とした未来技術の創出▽東大関連のベンチャー企業との協業を通じた新たな価値の社会実装――の3つの協創プログラムを展開していく。ダイキンは18年12月からの10年間の協定期間で、100億円規模の資金拠出を想定する。
未来ビジョンの協創では東大の理学、工学などに人文知を交え、新たなニーズやビジネスを顕在化させる。両者は年6回の頻度で会合を持ち、ビジョンを導き出す構えだ。
「空気の価値化」として、空調機能を暖める、冷やすだけではなく、温度、湿度、気流、空気成分などが生活空間に与える影響を研究し、社会課題に臨む。ダイキンの井上礼之会長は「空気は空間を満たして包み込む媒体であり、空気を通じて様々なデータが集積できる。ビッグデータをもとに解析し、新たな知見を獲得する。空気の価値化に関する素材は無限にあり、そこからイノベーションが生まれる可能性がある」と説明した。
「空気の価値化」に向けた技術創出として、熱交換器への着霜防止に加え、AIを用いた機器の故障予知、省エネ性を飛躍的に向上させる運転制御といった空気分野の技術研究を想定している。
ダイキンは人材交流として東大の教授や准教授、若手研究者を受け入れると共に、ベンチャー企業も支援する。東大は卒業生や研究者、学生などが設立したベンチャー企業が約330社ある。ダイキンはこうしたベンチャー企業に対して、ファーストカスタマーとなる人脈、技術や製品の性能、効果を検証する場所、生産設備やノウハウを提供する。
また、ダイキンは東大がスタートさせるベンチャー企業支援のための「FoundX(ファウンドエックス)プログラム」に最初の民間企業として参画。東大の起業希望者が集まるスタートアップ企業集積地に、ダイキンの若手技術者4人を常駐させる。更に半年に20人以上の技術者を訪問・滞在させる。一方、ダイキンは世界150カ国に事業拠点を持つ。その拠点を東大のグローバル化と共に、東大生の海外インターンシップにも生かす方針だ。

















