居酒屋の詩 (30) 酒呑めばちぢにものこそ悲しけれ 我が身一つの師走にあらねど
住宅新報 2018年12月11日 号 15面
連載: 居酒屋の詩

常々静かに呑める居酒屋はないかと思っていたら、入口に大きな字で「大声の人、泥酔の人、お断り」と張り紙をしている店を見つけた。私にとって、居酒屋の究極の価値は〝静けさ〟である。
さっそく、期待に胸をふくらませて扉を開けた。八丁堀1丁目にある「居酒屋つまみ菜」である。
案の定(あるいはたまたまか)、店内は静かだ。通されたのは、奥のこぢんまりしたカウンター席で、左の隅に女性の二人客がいたが、高い声を上げることもなく、ひっそりと語り合っている。私を喜ばせたのは、それだけではない。目の前の壁には日本酒の銘柄がびっしりと貼られている。しかも「つまみ菜といい関係の蔵たち」との詞書きが添えられている。

















