-社員発案、花開く地域戦略- 「管理戸数4千戸目指す」 ホワイトホームズ(東京都大田区) オーナー女子会や「IT重説」も
住宅新報 2018年11月6日 号 11面
同社の主な売り上げ構成は、(1)工事、リフォームが30%、(2)賃貸仲介が30~40%、(3)売買仲介は15%、(4)賃貸管理が15~20%。商圏は落ち着いたファミリー向け物件の多い低層地帯。主要交通網から乗り入れるローカル沿線のため、繁忙期でも来店者数は月20~30人程度という。限られた来店者を生かすため、居住賃貸の販促活動では、池上線と接続する蒲田や五反田をはじめ、渋谷、品川などの不動産会社に営業をかける。このとき、コンセプトを定めたリフォームが同社の戦略となる。「例えば、20代の社会人女性が求めるリフォームで『内見すれば決まる』という状況に仕上げる。売り上げの3割を工事が占めるのも、このコンセプトリフォームが多いから。オーナーの理解を得て、ターゲットを絞ってから販促を徹底する」(岩瀬邦明常務)。
入居率は96%超
同社と取引のあるオーナー数は現在約670人。管理戸数は1264室(10月14日時点)で、この半年間の平均入居率は96.6%以上。最近は投資家オーナーも出てきたが、大半は地域の地主だ。
同社では地域との関わりを深めるため、商店街の年中行事や農園管理、区が主導する「まちゼミ」に参加。オーナー向けには、月1回以上イベントを企画。4年前からオーナー向け内覧会も開始した。これは、近隣の家主と共に周辺の販売物件を見学するという取り組みで社員の発案。岩瀬常務は言う。「オーナー様自身が経営視点を身につけるためには、競合相手であるオーナーの販売手法を学ぶ必要があった。同時に、孤独なオーナー業に陥るケースも多いため、オーナー同士のつながりの場も創出したかった」。
更に、現地内覧会の後に集まって会食する「オーナー女子会」も社員の発案で加わった。「夫婦で取り組む場合、夫が勤め人であれば、奥様への接点も必要。母娘参加も活発で、承継に関する対応やリレーションづくりが進む」と同社オーナーサービス課コンサル室室長の渡辺広美氏。「女性心理として、吸収した知識は発表したいもの。自己物件を内覧会場として提供したり、内装用品をオーナー仲間と探しに行ったり、意識の変化が感じられる」と微笑む。河津社長も「オーナーは、賃貸経営者であるという理解が大前提。昔は原状回復や敷金精算などギャンブル的な要素もあったが、これは経営。根拠を持って取り組めば、リスクは最小となる」と話す。
ダブル担当制で
河津社長は今後の目標として、地域密着企業ナンバーワンを掲げる。その指標が管理物件数の増大で、今期47期(19年4月期)は1600戸、50期で2500戸、52期で3000戸、55期で4000戸という成長曲線を描く。「まずは地域で圧倒的に管理物件数を増やす。工事件数が増えれば単価が下がり、オーナーに還元できる。共に成長したい」。
管理物件数が増えていく中で社内体制も改革した。今夏、ほぼすべての物件に対して、ダブル担当制を採用。リーシング提案や滞納督促、審査を行うPM担当と、建物の維持管理や設備点検等に対応するBM担当を設けた。岩瀬常務は「属人性の高い不動産業界では、個人の力量と負担が大きい。各物件2人体制とすることで、休みの際の引き継ぎもスムーズになる。管理物件数が多いオーナーに対しては、サブ担当も加えて3人体制とするケースもある」と話す。
まだ、取り組み始めたばかりだが、社内の働き方改革の兆しといえそうだ。というのも、同社では新たな仕掛けとして、「IT重説」も行っている。これは渡辺室長の発案で社会実験時からの取り組みだ。17年10月の本格運用以降、繁忙期は月5件、平常月は1~3件で実施しているが、遠方客のキャンセル防止や働き方の面で手応えをつかんだ。「特に店頭で行う重説では日時が限定的になりやすいところ、同日に2つの契約をIT重説で対応し、合間で現地調査も行えた。社員個人の時間調整はしやすくなった」(渡辺室長)と言えば、岩瀬常務は「社内でも2、3人はIT重説を行える。今後は無人の内見などIT重説以外のサービスに取り組むベースづくりができた」と応じる。
同社では新卒採用を中心に毎年実施し、現在24人の社員のうち、20代の若手が4割を超えた。河津社長は、「現場から出たアイデアは基本的に採用する。朝令暮改は是とし、現場の変化に応じる」と笑う。社員のチャレンジを楽しむリーダーの柔軟性も同社の強みだ。 (佐々木淳)
東京・大田区に2店舗を構えるホワイトホームズ(河津文三社長)は、72年創業の地域業者だ。本店は東急池上線久が原駅前の商店街に立地。2店舗目の鵜の木店(東京多摩川線鵜野木駅)と共に、ローカル沿線というアクセス条件を逆手にとり、管理戸数地域一番を追求する。オーナー女子会や「IT重説」等、社員発案の取り組みとモチベーションが原動力だ。




















