幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇11 変質する社会的役割 〝悠久〟の味わいが心を癒やす
住宅新報 2018年9月18日 号 19面
連載: 幸福論的「住宅論」

〝人生100年時代〟には〝悠久〟の味わいをもつ家こそふさわしい(「木のいえ一番振興協会」提供)
精神的支柱になる
90年代初頭のバブル崩壊までは、多くの父親(サラリーマン)にとって家はただ寝に帰るだけの場所であった。しかし、これからは地域の人たち、友人や職場の同僚などを招いて交流を図るなど、様々な人とつながる場所になる。 家族間では、子供と同じ作業を通じて時間を共有し同じ感動を得る場所となる。仕事一筋で来たゆえに、もし妻の気持ちが離れ始めたと感じるなら、〝熟年離婚〟を防止するためにも妻の気持ちをつなぎ止める場所にもしなければならない。核家族の弊害(前回記事参照)をなくすために祖父母と同居する、または近居すべき場所でもある。人によっては、将来の在宅勤務に備えておく必要もあるだろう。要するに、住宅の果たす役割が多目的化しようとしている。
そして、もうひとつの大きな役割が「精神的支柱」である。なぜなら、現代は若者から高齢者まで、〝1億総不安社会〟だからである。大企業が不祥事で突然沈んだり、メガバンクの大量人員削減など、どこに勤めていても、どんな職業についていても将来にわたっての「安心・安全」は保障されない時代である。

















