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スタンダード会員限定ポータルサイトで地域業者を支援 目指すは「不動産流通革命」 リノベパッケージ商品に手応え KT(神奈川県横浜市) 「不動産に関わる皆を幸せに」

住宅新報 2018年4月24日 号 17面

住まい・くらし
  • 松山英明社長

    1 / 3松山英明社長

  • ポータルサイト「みな-トクPRO」

    2 / 3ポータルサイト「みな-トクPRO」

  • KTの提案するホームステージングの例(写真提供=同社)

    3 / 3KTの提案するホームステージングの例(写真提供=同社)

 「みな-トクPRO」は、売買仲介業者や買取業者など不動産関連の事業者が登録し、利用者の事業に合わせて「リノベ」「インスペクション」「相続不動産」など、目的に合わせた分野の支援サービスを利用できるというポータルサイトだ。

 例えば、既存住宅の売買仲介の際にインスペクションを行いたければ、同サイトを通じて手軽にインスペクションや瑕疵保険のサービスを受けられる。また顧客から相続案件の相談を受けた場合などには、同社の提携する相続専門の税理士に相談や手続きを依頼することもできる。

ITで人の縁つなぐ

 同社は創業当初から一貫して、こうした不動産事業の業務効率向上を目指したITサービスを開発、提供している。 事業を立ち上げた動機について、松山英明社長は「お客様に幸せになってほしい」という気持ちが原点だと言う。この場合の「客」とは主に一般の売主や買主のことだが、広い意味ではプロの業者も含めた〝不動産に関わる人〟全員でもある。

 通常、一般の不動産所有者が売却を考えた場合、どの買取業者を選んで依頼すれば最善かは分からないもの。「実は、物件に応じた最適な買取業者を紹介するという仕組みは、現状ほぼないと言っていい。しかし、横浜と川崎、東京23区で約1000社の買取業者と提携している当社であればそれが可能だ」(松山社長)として、ポータルサイトを介して売主と買主をマッチングさせる。物件を介してベストな取引相手と出会うことは、売主はもちろん買主の業者にとっても「幸福な出会い」であるという考えだ。

 こうしたビジョンの実現へ向け、比較的少ないリソースでも事業の立ち上げが可能なネット事業の特性を生かし、同社はコンスタントに新サービスを導入している。現在、同サイト上で表示される「営業支援ツール」は10種類以上。「ニーズがある」と判断したサービスを積極的に取り入れながら試行錯誤を繰り返し、必要に応じて専門家と連携しながらプラットフォームとしての充実化に日々取り組む。

 そのサービスの一つが、松山社長が「売り方改革」と自信を見せる、スタートアップ事業者をターゲットとしたリノベーションバックアップ事業だ。大手企業のLIXILと提携したリノベプランと併せ、インスペクションや瑕疵保険をはじめとした各種保険、ホームステージングに加え、それらをまとめた一括ローンをパッケージ化して提供。手軽に物件に付加価値を付けられるため、売買価格の上乗せや取引の迅速化などが期待でき、まだノウハウの少ない仲介業者や買取再販業者からのニーズは高い。

 好評とはいえ個々のサービスについて同社の利益は決して大きくない。もちろん、ビジネスである以上収益性は考慮しているが、利益率を削ってサービスの低価格化や質の向上に充てている面もある。

 その理由の一つには、前述の通り「お客様が幸せになるために選択肢と最適のサービスを提供する」という企業ビジョンがある。

 しかし同時に、「これは商品開発の投資と同じ。プラットフォームとして大きく成長すれば、利益は後からついてくる」(松山社長)という読みに基づいた中長期的な戦略でもある。

仕組みの構築が重要

 今後1~2年のうちに関東全域まで対応範囲を広げていく計画だ。その先に目指すのは全国展開。当初から事業の主軸をインターネット上のサービスに置いてきたのは、地域から全国、更に世界への事業展開を目指すならばインターネットが主戦場になるという考えもあってのことだ。

 不動産分野の抱える社会的課題に対して解決策を提供できれば、それは必ずビジネスとして成立する。しかし、同社が1社で対応できる範囲には限界がある。そこで、まず地域に密着した不動産業者がエンドユーザーからの相談の窓口となり、同サイトが不動産に関わる専門家との仲介役を担う構図が同社の理想だ。 更に「プラットフォームを提供して会費を受け取り、活用は利用者任せ」とならないよう、同サイトを最大限活用してもらうための買取業者向け研修も計画している。

 そして目指す先は、松山社長の言葉によれば「不動産流通革命」だ。顧客に幸せになってもらうという基本理念を実現するためには「時代に即していて、分かりやすい中古物件流通の仕組みを提供することが大事」(松山社長)。 逆に言えば、現在の中古流通の仕組みは極めて不完全だという指摘でもある。松山社長は「新しい仕組み作りは皆が怖がってやらないことだけれど、できたなら〝不動産〟はもっと面白くなる。極論、当社のサービスでなくても、より優れた仕組みが確立して流通市場が活発になるならば、それはそれでよいことだと思う」と笑顔を見せる。

 近年注目度や重要性がますます高まる「不動産テック」だが、その大きな特徴の一つは地域の企業や小規模の事業者でもアイデアと技術力で業界に大きなインパクトを与える可能性を秘めていることではないか。もちろん、競争相手は全国に数多く待ち構えている。しかしその中で将来業界を変えるのは、もしかすると先端技術を駆使した斬新な仕組みやサービスというよりも、その技術で「顧客を一番幸せにした会社」なのかもしれない。    (佐藤順真)

 

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