ちばらきSTYLE 地元工務店と木材店が協働 モデルハウス第1弾 3月24日オープン 地域の住まい方がここにある
住宅新報 2018年3月13日 号 17面
ちばらきSTYLEとは東洋ハウジング(千葉県鎌ケ谷市、西峰秀一社長)、住工房スタイル(千葉県印旛郡、野口浩社長)、丸和建設(茨城県桜川市、川那子弘己社長)、にのみや工務店(茨城県桜川市、二宮直貴社長)のビルダー4社と、竹屋(茨城県龍ケ崎市、磯貝努社長)、丸川木材(茨城県桜川市、川那子克己社長)というサプライヤーが共同で立ち上げたプロジェクト。東洋ハウジングの西峰社長が会長を務め、各社が個性を生かしたモデルハウスづくりを行っている。
プロジェクトの発端は16年頃、こういった「地域業者が協力して各社の魅力を発信するプロジェクト」を、先行事例を参考に茨城でもできないか、と丸和建設が丸川木材に相談したこと。そこで声をかけたところ協力企業が集まり、現在の6社で17年8月にプロジェクトとしてスタートを切った。
その動機には、大手ハウスメーカーを中心とした総合住宅展示場の存在がある。丸川木材と共に同プロジェクトの事務局を担当する竹屋の小寺勝太店長は、「やはり一般的な地域工務店は、総合展示場への出展はできないもの。それをやりたかったという思いが第一」と話す。第1号の合同モデルハウスは1年間の開業予定で、「可能ならばつくば市近隣エリアである程度のサイクルで続けていきたい」(小寺店長)という。
また、にのみや工務店の並木暁人氏は「地域の企業として、大手ハウスメーカーに対する危機感はもちろんないことはない。しかし我々は長年地元に根を張って地域密着で培ったものがあり、それを(同プロジェクトを通じて)伝えていければ」と語る。
TXの影響大きく
「千葉」と「茨城」の企業が手を組んだ同プロジェクトが、事業の舞台に選んだのは茨城県つくば市だ。その背景には、両県を結んで沿線の姿を変えたつくばエクスプレス(TX)の存在が大きい。つくば市は住宅需要の大きなエリアだが、つくばみらい市や守谷市など、TX沿線とその周辺の住宅ニーズも多い。
実際のところ、千葉に本拠を置く工務店もつくば市をはじめ茨城県南部を施工エリアとしているケースが多く、同プロジェクトの千葉エリアの2社はつくば市にも拠点を置いている。
こうした背景から同プロジェクトのメンバーは、自分たちの強みを生かすと共に、地域業者の魅力を広く発信するためのエリアとしてつくばエリアが最適と判断。とはいえ人気のあるエリアだけに、「まず、モデルハウス事業のための土地探しが難航した」(小寺店長)という。メンバーの工務店も、家づくりを土地探しから行う顧客への対応でノウハウはあるものの、日々の業務では1棟分の土地だけを扱うことがほとんどのため、合同モデルハウス事業に適した土地の情報を得ることは難しかった。
時間をかけ、最終的に東洋ハウジングが約700坪の適地を取得。その土地を10区画に分割し、そのうち4区画をモデルハウス用地とし、2区画は駐車場に。残り4区画は「建築を東洋ハウジングに依頼する」という建築条件付き分譲地としているが、同プロジェクトメンバーの工務店に建築を依頼すれば建築条件を免除するという方針だ。順調に販売が進めば、この10区画は「ちばらきSTYLE街区」とも呼べる街並みになる。思い工務店に託す
同モデルハウスは住宅購入検討者向けの見学用であり、購入希望者が現れれば販売する商品でもある。つまり、このプロジェクトでモデルハウスへの集客が増えれば、参画する工務店は直接受注機会の拡大につなげられる。
一方、サプライヤーの2社にとってのメリットは何か。もちろん、同プロジェクトで建築している木材などはこの2社が供給。また茨城県材を中心としたスギやヒノキなどの地元産材を50%以上使用しており、地元性を打ち出して他社との差別化も図っている。更に、プロジェクトメンバーの工務店4社で注文住宅を発注した際には、竹屋と丸川木材の建材をプレゼントするという企画も実施する予定だ。こういった直接的な売り上げなども確かにある。
しかしその根底にある意図について、丸川木材の川那子隆専務はこう話す。「地域の材木屋というのは、地元の工務店が元気にならないと自分たちの仕事もはかどらないもの。だから手を取り合い、地域を盛り上げ、地元で暮らすことのよさを伝えていきたい」。そして「けれど自分たちは家をつくれないから、それを工務店さんに託している」と続けた。
拡大と継続視野に
今回のモデルハウスでは、「他地域の事例では、多い所で年間1000組以上の来場者を集めているケースもある。我々もそれに近い規模を目指していきたい」(並木氏)という目標を掲げている。また第2弾では参画メンバーを増やし、10社程度で取り組みたいとも言う。
エリアについては、引き続きつくば市周辺がメーンターゲットではあるものの、必ずしも特定の地域に事業を限定する形ではない。「地域に応じた住まい方を家づくりに落とし込むという、〝ハウスメーカーではできない家づくり〟がここにある。その地域を盛り上げたいと皆が思えば、将来的には千葉県内での展開もありうる」と語る。
また今後のビジョンとして、同プロジェクトを継続していくこと自体も大切な目標だ。立ち上げ当初から将来的なことを見据え、10年近い実績を持つ青森県の工務店団体「ミライエプロジェクト」を参考として直接指導を受けるなど、継続性を重視した方針で計画を進めてきた。
地域密着型の企業にとって、その地域にあり続けることはそれ自体が一つの存在意義だ。現在、そして将来において、正直戸建て注文住宅事業は逆風の強い分野かもしれない。しかしその土地にしっかりと根を下ろした樹木は、そう簡単には倒れないものなのだろう。 (佐藤順真)




















