旭硝子×キネストラル IoT調光ガラスを世界へ ビルや住宅などで需要見込む
住宅新報 2017年12月26日 号 10面
世界最大手のガラスメーカー旭硝子(AGC、東京都千代田区、島村琢哉社長)とスマート調光ガラスシステムの開発を手掛けるキネストラル・テクノロジーズ(米国カリフォルニア州、スックベイ・チャー社長)は18年1月、米国・中国・ベルギーの3拠点に合弁会社を設立する。
これらの合弁会社の目的は、キネストラル社の開発した次世代IoT調光ガラス「ヘイリオ」を世界市場へと販売拡大していくことだ。電気・化学的なシステムによって自動で光の透過率などを調節できる〝調光ガラス〟は、以前から旭硝子も研究に取り組んでいた分野。構造的には、電気を流すことで化学変化が起こり色が可逆的に変化するという特殊な導電膜を、ガラスと組み合わせて採光や眺望を管理するというものだ。
しかし色が変わるまで時間がかかる上、位置によって変化スピードにムラがあり、ガラス自体の色味も黄色や茶色になってしまうなど、実用化に当たっては複数の課題を抱えていた。
一方、10年に設立したキネストラル社の調光ガラスは、同社が特許を持つ20以上の新技術により、前述の課題の大半を解決。そこで、調光ガラスの技術的なハードルをよく知る旭硝子は、早い段階でキネストラル社の研究成果に関心を示し、12年にパートナーシップを締結した。17年1月には旭硝子がキネストラル社に出資して共同開発を進めており、現在は販売拡大に向け、台湾で18年半ばから稼働予定の大型工場を建設中だ。
3分で99.9%遮光
12月8日に開かれた記者会見で、旭硝子ビルディング・産業ガラスカンパニープレジデントのジャン・フランソワ・エリス常務は同商品について、「建物の内外を結び、光を提供するというガラスの性能はそのままに、ダイナミックな機能を持たせた」と述べ、大きな期待感を示した。
1世代前の調光ガラスの場合、「色が変化しきるまでに20~30分はかかっていた」(キネストラル社)のに対し、同商品は約3分で最大遮光状態に移行可能。速いだけでなく、遮光性を高めた「ヘイリオブラック」では、最大で可視光99.9%と日射熱96%を遮ることができる。
また従来品と異なり、クリア状態時の見た目は通常のガラスとほぼ変わらず眺望を妨げない上に、色が均一に変化していくため、既存の遮光設備では難しい「半分だけ光を通す」といった使い方も可能。両社は戸建てや集合住宅をはじめ、オフィスや店舗、宿泊施設や病院など、様々な施設での導入を見込んでいる。
市場は数億ドル規模
調光ガラスを導入するメリットは、第一にカーテンやブラインドなど遮光のための設備が不要になり、導入や清掃などのメンテナンスのコストが大きく軽減されることだ。またクラウドシステムの搭載により、スマートフォンやタブレットから手軽に操作可能となっている。
チャー社長は「ガラスはコンクリートに次いで建築にとって一般的な素材。あらゆる市場に挑戦していきたい」と意欲を燃やす。
販売価格について、エリス常務は「既存のガラスとブラインドなどの設備、それにメンテナンス費用を含めた総額と同程度の価格を目標としている」とコメント。また世界展開の際の販売目標については、「具体的な数値は開示していないが、数億ドル規模を見込んでおり、非常に大きな利益をもたらしてくれると確信している」としている。





















