ひと 埼玉で初の景観協定 街並み重視の戸建て分譲を企画したポラスG中央住宅営業企画設計一課課長 稲垣 有以知さん
住宅新報 2011年10月11日 号 2面
埼玉県で初めての景観協定を設けた戸建分譲住宅街として注目を集める「オランジェ吉川美南」(吉川市、全87戸)。街並みがほぼ完成し、自治体の担当者らが相次ぎ視察に訪れている。
景観協定は景観法に基づく制度で、建物や緑化、広告物などについて住民が自主的に定めるルール。協定の内容は新たに住宅を購入した住民も守らなければならず、強制力が強い。
「以前に携わった分譲地を10数年ぶりに通りかかると、当初は統一された街並みだったはずが、『なぜこの色に?』と思うような外壁に塗り替えられていたり、手入れの仕方が分からないためか樹木が引き抜かれていることがある。一方、ヨーロッパではルールを設けて美しい景観を維持している。日本でもそういった街並みを残していきたいと思った」
そこで昨秋、埼玉県に持ちかけた。内容を調整し、今年2月に認可が下りた。元々あった吉川市の地区計画と整合性を持たせる必要もあった。
価値のある街にするには、街区の美しさだけでなく、住民同士の良好なコミュニティが形成されていることも重要になる。今回の分譲地では、色彩や屋根形状など建築物に関する基準のほか、植栽の種類や維持管理の決まりも設けた。『協定樹木』の手入れを通して、住民同士の交流を促す仕掛けだ。
「住宅取得者は自分のものという意識が強いため、景観維持にルールは有効だが、厳しすぎたり、権利関係が複雑になる仕組みでは敬遠されてしまう」
過去に企画したものの中には、営業担当者が説明に苦労したケースもあった。今回はそうした経験を生かして協定内容を作成。「周辺には他社の供給物件が多く苦戦すると思っていた」という当初の予想に反して、抽選になるほどの人気となった。
「分譲地に景観協定を導入するには通常よりも手間はかかる。分譲後も住民が自主的に活動できるまでサポートが必要だ」
「グループ会社が分譲したものの中に、街並み維持に配慮したことで、新築時よりも高い価格で取引された事例も出てきた。付加価値の1つになるだろう」
自然が好きで3年前から、高校時代にやっていた山登りを再開した。栃木百名山完登を目指して、ほぼ毎週出かける。現在、85山を踏破している。静岡県出身。 (井川 弘子)

















