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スタンダード会員限定木造サ高住で新たな扉を開く ウスイホーム(横須賀市) シニアの声に住まいで応える

住宅新報 2017年11月28日 号 15面

住まい・くらし
  • 実際に触れ、感じてもらう(見学会で)

    1 / 3実際に触れ、感じてもらう(見学会で)

  • セミナーの開催でシニアたちと一緒に考える

    2 / 3セミナーの開催でシニアたちと一緒に考える

  • 木造、コンパクト化で建築費を抑える

    3 / 3木造、コンパクト化で建築費を抑える

 横須賀市内で60~70年代に開発された山の手の分譲地は「閑静さ」から、当時は憧れの住まいだった。しかし、今は姿を変え、「静けさ」がまちを覆う。子供たちが巣立った住まいは、高齢単身者世帯や空き家が目立ち始めた。

雨戸は閉まったままで

 横浜南部や横須賀などの神奈川県東南部の高齢化の進行は深刻だ。20年には、高齢者の割合が居住者の50%を占めるようになる。周辺の戸建て住宅を見ていると、「2階の雨戸が閉まり、階段を上れずに1階だけで生活する高齢者世帯が多い」(取締役執行役員管理本部長の臼井謙介氏)という。だが、都内にも電車で1時間程度で行ける。少ない寒暖差で海や山の自然に囲まれて居心地がよく、この地を離れたくない人が多い、魅力あるまちの姿もある。

 この地でウスイホームは、創業から一貫して不動産・建設分野に特化して事業を展開してきた。しかし、6年ほど前だ。少子高齢化の時代の波が否応なしに押し寄せ、日々相談を受ける不動産オーナーの中に高齢者が増え始めた。こうした環境の変化を受け、地域貢献の一翼を担い、高齢者の役に立ちたいとシニア事業の展開を始めた。

 不動産オーナーには長期にわたって安定的な収入を得てもらいながら、相続対策や税制優遇を可能にする資産の有効活用を提供したい。その思いで、社内プロジェクトを発足させたが、高齢者施設を単に造り、供給するだけでいいのだろうか。一時期のブームのように、不動産・建設会社が得意な箱づくりで高齢者施設を展開していたが、運営の中身が問われ、事業買収などで淘汰されてきた光景に思いを巡らせた。高齢者に施設見学会を開けば、逆に、「このまま自宅で住み続けたくなった」との感想も多く聞かれ、リフォームの商品提案も必要と感じた。単に家を売り、跡地を活用するだけではシニアの声に応えられない――。

年金受給額の範囲内に

 それでは、どうすればシニアが抱える悩みを解消できるのだろうか。既に始めていたセミナーや施設見学会などを通じ、地域の高齢者と一緒に悩み、考え抜いた。

 そこで、一つの解決プランを見いだす。同社は今回、「リビングケア唯の家 横須賀林」を完成させた。デイサービス併設サービス付き高齢者住宅としては同社で初の設計・施工だ。

 平均的な年金受給額の範囲内で食事も含めて入所でき、「どうしても毎月の生活費を年金受給額内に収めたいといった切実な相談者が多く、その強い思いを叶えたいと考えた」(臼井取締役)ことから、入居者の負担を極力抑える形とした。

 この建物の特長は、サービス付き高齢者住宅では珍らしく、木造2階建ての構造とするコンパクト化により、コストダウンが図れたことにある。約200坪という小規模建物の事業モデルを構築したことにより、建設候補地の範囲も広がった。

 このハード面に加え、運営事業者で提携したリビングケア(横浜市西区)が持つ介護事業のノウハウとの融合で、より快適にシニアの住まいを提供できるようになった。

ここに住み続けてもらう

 入居者とオーナーの負担を抑えたアイデアは、「知らない土地に移住するのではなく、この地に、ずっと住み続けてもらえるように」(臼井取締役)という、同社の思いが結実した形でもある。 

 同社ではこれまでも注文住宅や新築分譲などを手掛けており、その技術を発展的に活用できた点が大きい。この結果をもとに今後は単純に「持ち家を売却するのではなく、将来の資産として残してもらうよう、このプランの提案も強化していく」(臼井取締役)。

 これには理由がある。自宅を売り、有料老人ホームに移り住む生活設計ができるのは、限られた人たちだ。実際に多くのオーナーは、地価の下落で売るに売れずといった状況にある。主要都心部ならば別だが、急速に高齢化するこの地では望むべくもない。

 また、更なる問題は、専用施設などに入居できない賃貸入居の高齢者のほうが、圧倒的に多い点だ。そのため、専属の営業マンがケアマネージャーを回り、今では1都3県内で2000施設以上の高齢者施設を入居先として紹介できるシステムを構築した。

 しかし、これらの取り組みよりも速いスピードで進むのが空き家の発生だ。だが、同社は、「空き家が増えることを、あまり悲観はしていない」(臼井取締役)。様々なビジネスチャンスとして広がる面があるからだ。

 大手企業のプランとの差別化も課題となるが、「地域に密着してきたからこそできる、この地に住む人それぞれに合うプランの提案に自信がある。その自信がなければ、資本力のある大手企業にはかなわない」(臼井取締役)。

選ばれ続けるために

 そのチャンスをつかむには、引き続き選ばれる不動産会社にならなければならない。人材育成と提案力を強化していくとともに、時代の変化に対応する柔軟な発想力も重要となる。「プラスアルファで何ができるかを常に考える。住まいづくりに加え、生活全般の相談にも対応できる強みを生かしていきたい」(臼井取締役)と話す。

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