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スタンダード会員限定京急グループ リノベ×サブリース オーナー自己負担ゼロ 空き家活用で沿線の魅力高める

住宅新報 2017年8月8日 号 15面

住まい・くらし
  • リフォーム前の築古物件。魅力に劣る

    1 / 2リフォーム前の築古物件。魅力に劣る

  • リノベーションで資産価値を高める

    2 / 2リノベーションで資産価値を高める

 最近、築古物件ならではのそのたたずまいが見直され始めた。画一的な新築物件では出せない風情を生かしつつ改修して、住まいとしてだけでなく、カフェテリアなどに利活用する。地域に愛されるそうした建物が増えている。

 そこが新たなスポットとなり、人々を魅了する。古さゆえに新鮮さが演出され、新築以上に価値を感じられる物件もある。そこには後ろ盾となるリノベーション技術の発達が背景にある。京急はここに着目し、空き家活用を新規事業として立ち上げた。

 事業スキームはサブリースの手法を使う。物件オーナーに空き家を提供してもらい、京急がリノベーションを行い資産価値を高め、転貸する。その際、リノベーション費用でオーナーの負担はない。

6年間定額家賃保証

 仕組みはこうだ。サブリース期間の上限6年間は定額で家賃を保証する。物件オーナーに対して、その賃料の10%を稼働状況に関係なく京急が支払う。残る90%は京急の収益として、リノベーション費用に充当する。リフォーム費用の上限は査定貸出賃料の42カ月分を上限とする。

 同事業には、京浜急行電鉄のほか、京急不動産、京急リブコがグループとしてサポートに入る。実際のリフォーム・リノベーション工事では、業務提携しているルーヴィス(横浜市南区)と京急リブコが参画する。

資産価値を高める

 ルーヴィスはこれまでに東京23区を中心に500戸以上の豊富なリノベーション実績を持つ。おしゃれやデザインに敏感な若者をターゲットとして数々の築古物件の改修事例を手掛け、「古くて貸しづらい物件」などを価値ある物件に再生。今回の事業のリノベーションではこうした実績に基づき、物件オーナーにリノベ方法を提案する。

 京急のブランド力を生かして転貸するため、6年間の定額家賃の保証により物件オーナーは安定した賃料収入を得られる。更には、京急が保証するリノベーションの品質が資産価値を高めてくれる。6年間の借り上げ期間満了後の7年目からは、その高い資産価値の物件を使って、オーナー自身で賃貸経営できる。

 7年目からも物件オーナーの要望があれば、同グループが引き続きサポートに入り、管理・運営業務を受託する。入居者の募集や入退去の手続き、設備などの故障時や騒音、ごみ出し時のトラブルや苦情にも、管理のプロが24時間体制で対応する。

 対象とする物件は、戸建て住宅からアパートやマンションの集合住宅、長屋、ビル、店舗、倉庫など、建物の形態を問わず、1戸(1部屋)からでも受け付ける。これまで賃貸物件として想定していなかった戸建て住宅であっても対象とする。

戸建て住宅から

 4月の事業スタート以来、成約に至った物件はまだないが、「東京都大田区や横浜市、川崎市内を中心として、築30年、40年の戸建て住宅の問い合わせが多い。まずは要望が寄せられている戸建て住宅や集合住宅から具体化させて手掛けていきたい」(京浜急行電鉄生活事業創造本部まち創造事業部課長補佐の菊田知展氏)と話す。

人口減と高齢化が背景

 同グループがこの事業に乗り出した背景には、次のような沿線環境がある。

 京急線沿線は都心への通勤圏内でありながら、豊かな自然を持った地域が広がる。しかし最近では、「横浜市南部や横須賀市を中心に人口減少や少子高齢化が進み、これに伴って空き家や空き地が増え、まちの魅力が衰退している」(同社同部の田名部美紗氏)という。

 空き家は、今後も増加していくことが大きな社会的問題として懸念されている。

 それは一つ、家屋の老朽化に至るだけではない。景観の悪化に加え、倒壊、放火などの防犯上の問題などを引き起こす恐れがあり、ゆくゆくは地域の衰退につながっていくことになる。

 ただ現状は、今回の事業の相談でも、「親や兄弟から空き家を相続しても、売れない、または、実家であった懐かしさから売りたくない、といった相談が多い。相続人自体も高齢に差し掛かり、頭を抱えている」(田名部氏)。

 沿線駅で京急は、昭和40年代を中心に宅地開発を進めてきた。そうした住宅地では、同時期に入居した人たちが一斉に高齢期を迎え、今後一様に相続問題に直面していく。

まち全体の魅力アップ

 京急では、リノベーション費用を負担して10年前後を借り上げる「シェアハウス」の事業も展開しており、「市況や家庭事情の変化に合わせて検討し、納得したいという物件オーナーは多いため、売却を含めた相談に乗りたい。既存ストックの活用を増やしたいが、それは空き家1軒だけの観点でない。エリア全体を考えて、まちの魅力を高めていきたい」(菊田課長補佐)と話している。

 同事業の推進は、「空き家の改修を糸口として、自然や街並みにあった特色ある物件に生まれ変わらせ、新たなライフスタイルを提案することにより沿線を活性化させる」(田名部氏)ことに狙いがある。今後も同グループでは、空き家対策に向けて様々な仕組みをつくり、沿線の活性化に取り組んでいく考えだ。         (坂元浩二)

 

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