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スタンダード会員限定戦略の在り処 ◆7 政策を読む 地元の人口増やす秘策登場

住宅新報 2017年5月23日 号 13面

連載: 戦略の在り処

住まい・くらし
居住支援協議会

居住支援協議会

 国の住宅政策が〝居住福祉〟的方向に大きく舵を取り始めた。今秋施行される予定の改正住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部改正)がそれを示している。

〝居住福祉〟を本格化

 一部改正とされてはいるが〝新法〟と呼んでもいいほどの改編である。改正前の条文はわずか12条のみだったが、改正後は第9章まであり、全64条と大きく膨らんだ。最大の注目点は第4章に規定されている「登録制度」の創設である。 住宅確保要配慮者の受け入れを拒否しない賃貸住宅を民間オーナーが提供する場合はその建物を「要配慮者専用住宅」として都道府県に登録できることになった。

 また、空き家対策とも連動させるため、登録基準などを満たすために一戸建ての空き家やアパートなどの空室を改修する場合には、その改修費について1戸当たり最大100万円が補助されることも注目に値する。

 例えば、親から相続した郊外の一戸建て住宅を子育て世帯向けの戸建て賃貸として貸し出すのであれば、そのための改修費(間取り変更、耐震改修)に国から直接最大100万円が補助される。住宅確保要配慮者としては子育て世帯のほか、高齢者、低額所得者、被災者などが対象となるが、登録の際に、どれか一つに限定することもできる。

改修費に100万円補助

 ちなみに、5LDKの一戸建て空き家を5人が入居するシェアハウス(法律では共同居住型住宅)に改修し、うち3室を登録するのであれば最大300万円の改修費補助が受けられる。

 また、登録住宅に低額所得者(収入分位25%以下)が入居する場合には国と自治体で2万円ずつ合計月4万円が補助される予算措置もとられている。一戸建て空き家を管理しているとか、空室が多い賃貸住宅の管理を委託されている不動産会社にとっては、オーナーに新たな提案をするチャンスである。ただし、課題はある。

 これらの補助を受けるためには、最低10年以上は要配慮者向け専用住宅として管理していかなければならないが、誰がそれを担保するのかという問題である。法律では既に自治体ごとに存在している「居住支援協議会」などとの連携を想定している。

 しかし、同協議会は全都道府県で設立されてはいるものの区市町単位ではまだ19しか存在していない(東京区部では千代田、江東、豊島、杉並、板橋、世田谷の6区)。10年間の運営継続を監視・指導していくためにはやはり地域に密着した区市町単位での協議会が必要となるだろう。区市町単位の協議会必要

 協議会は住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するための機関で、不動産関係団体、居住支援団体、地方公共団体の関係部局で構成されている。国の住宅政策が大きく変化を遂げようとしている今こそ、賃貸住宅関係の業界団体が率先して区市町単位での協議会設立に努力すべきである。

 なぜなら、最悪のケースとして都道府県が管理を拒否、かつ区市町単位の協議会が設立されていない場合にはせっかくの補助制度が利用できなくなる可能性があるからである。そのため国交省は今、区市町に対し居住支援協議会の設立を要請している。不動産関係団体などと連携して設立する場合には1協議会当たり1000万円の助成金を出す。応募締め切りは9月29日までだ。

 同省は目標として20年度末までに登録住宅を17万5000戸にしたいとしている。今年10月からスタートするとすれば、年間5万戸ペースとなる。また自治体にとっても、人口減少時代に入る今後は住民確保が重要施策となる。

 高齢者や子育て世帯など幅広い層を対象にした今回の登録制度がうまく機能するかどうかで、自治体間の人口動態に大きな差が生まれる可能性は大きい。更に地域に根を張る不動産会社にとっては地元の人口減少傾向を少しでも食い止めることができるかどうかが死活問題となる。

 セーフティネット法ではあるが、低額所得者に限らず、単身高齢者、子育て世帯など、ある意味、〝普通の人たち〟にとっていかに住みよい町をつくるか――そこにこそ息の長い戦略が潜んでいる。          (本多信博)

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