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スタンダード会員限定戦略の在り処 ◆1 不動産業の成長モデル探る

住宅新報 2017年4月11日 号 11面

連載: 戦略の在り処

住まい・くらし
居住性の高い賃貸住宅が求められる時代に(写真協力=ポラス)

居住性の高い賃貸住宅が求められる時代に(写真協力=ポラス)

大量採用は続くか

 若年人口の減少で労働市場は人手不足が深刻化しているようだ。それでも、大手ハウスメーカーや不動産販売会社は毎年、何百人という新卒者を確保しなければならない。

 学生は〝超売り手市場〟に余裕の表情だとか。しかし、本当にそうなのか。大企業もいずれ、一括大量採用の見直しを迫られることになるのではないだろうか。

 企業の中には一定の離職率を見込んで多めに採用するところもあると聞く。ただ、精緻さを欠くそのような雇用の仕方が今後も通用するとは思えない。社員一人当たりの収益性が厳しく問われる時代になるからだ。人口減少は需要面では住宅市場の縮小をもたらすわけだから、戦力投入は適材適所、少数精鋭主義が時代のトレンドとなる。

 これからは人材を使い捨てる発想ではなく、時間を掛けても〝人財〟を社内に蓄積していくシステムづくりこそ重要だ。そのためにも、住宅販売という仕事を創造的で、長期に携わるほどやりがいのあるものに変えていかなければならない。もともと、顧客の「見えない声」に耳を傾ける人間的な仕事なのだから。

中小が目指す道は

 一方、資本力が小さい中小不動産会社はどのような戦略を打ち立てるべきか。一つは大手が参入しにくいニッチな市場に注目することだ。シェアハウスや民泊などは空き家の利活用が有力な戦術になる。空き家を解体し更地にする場合は、定期借地権の活用も考えられる。事業者が定期借地権者となり、地代の一部前払い金を解体資金としてオーナーに支払う手法が使われ始めている。

 もう一つは、単身世帯の増加をにらみ、本格的な居住環境を備えた賃貸住宅市場の創造である。土地所有者への提案にとどまらず、斬新性の高い商品を開発する場合には、まずは自社の資産として保有する気構えも必要だ。それを成功事例として見せれば、既存のアパートオーナーを説得することができる。

 これからの賃貸住宅経営を成功させるコツは、居住性を高め、空室の発生を極力抑えることである。そして平均入居期間を1年でも2年でも長くすることである。そのためには当然のことながら、長く住めば住むほど入居者がメリットを得る仕組みが備わっていなければならない。

 にもかかわらず、既存の賃貸住宅にはそのような仕掛けがまったくといっていいほど講じられていない。これは、かつての住宅不足時代、家賃上昇を背景に入居者が短期間で入れ替わることで仲介会社もオーナーも利益を上げていた時代の名残ではないか。

 今や賃貸住宅は供給過剰で、今後はますます借り手市場の性格が濃くなる。そうなると仲介会社とオーナーとの利益相反性が大きくなってしまうことに留意しなければならない。

 仲介会社の中にはオーナーから媒介依頼を受ける見返りに、無報酬で管理業務を代行しているケースも多いが、もはやそうした古い慣行は成り立たない。管理部門は仲介業から切り離し、入居期間の長期化などオーナーとの利害が完全に一致する部門として独立させるべきである。

仕事に誇り持つ

 大手、中堅、中小を問わず、これからの不動産業にとって最も重要な経営戦略は、社員が仕事や会社に誇りを持てるようにすることである。

 そのために経営者がしなければならないことは以下の通りだ。(1)会社が成長し続けるための明確な戦略を社員に提示する、(2)仕事を通して社会や地域に貢献しているという自覚をもたせる、(3)頑張れば頑張るほど労働条件がよくなるという確証を与える。

 とはいえ、人口減少・少子高齢化が続く中で、不動産業が今後も長く成長し続ける戦略が本当にあるのだろうか。

次回からは、その具体的な検証を始めることにしよう。        (本多信博)

 

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