あした育つ芽 (4) 〝感性〟の時代、アールシーコア 「楽しい」から「家」になる
住宅新報 2017年1月10日 号 15面
連載: あした育つ芽
住宅を性能や機能ではなく、感性(好き嫌い)で選んでもらうという、業界的には〝異端〟を標榜している会社がある。BESSブランドのもと、ログハウスなど自然材をふんだんに使った個性派住宅を自宅用に展開するアールシーコア(東京都渋谷区、二木浩三社長=写真)である。
性能とは、耐震性、耐久性、断熱性などのこと。機能は部屋数(間取り)、広さ、設備などによってもたらされる。そうしたハード面よりも、その先にあるべき〝楽しい暮らし〟そのものに着目する姿勢が、ユーザーからは〝これまでなかったサービス〟(当連載のコンセプト)と評価されている。
同社は、「家は暮らしを楽しむための道具」とさえ言い切る。商品の多くは玄関を開けるとすぐに土間だったり、天井に太い梁が露出したリビングルームがあったり。家の外には広いウッドデッキがあって、家の内と外をひとつながりにして楽しむオープンマインドが息づいている。
また、無垢材ならではの趣、特に経年と共に味わいを増していく楽しさも大切にしている。そのために「木の手入れ方法」も指導している。メンテナンスに手間をかけるほど、住まいに対する愛着が湧くからだ。
顧客同士が共感
そうした同社の商品コンセプトに共感してBESSの家を建てた人たちの間で、面白い現象が起きている。ブログやインスタグラムを使って、それぞれの暮らしぶりを写真で紹介(自慢?)し合う仲間が広がっているのだ。更に驚くことに、「今度○○方面に旅行に行きますが、どなたか泊めていただけますか」と呼び掛けると、「どうぞ、どうぞ来てください」という返事があるという。
初対面の家族を泊めるというのは不思議な感覚だが、二木社長は言う。「BESSの家を選んだ者同士ということで強い連帯感、仲間意識が生まれているということでしょう」。つまり、BESSの家での楽しい暮らしは〝一晩語り明かしても尽きない〟ことへの共感かもしれない。
英国では、個人が丹精込めてつくった自宅の庭(イングリッシュガーデン)を3000以上も紹介している「イエロー・ブック」という本が出版されていて、公開日には誰でも見に行くことができるという。もちろん、専門家による厳しい審査に合格した庭ばかりで、この本に載せてもらうことを目標に庭づくりに精を出している人たち(リタイア世代など)が多いようだ。
BESSの仲間と、イエロー・ブックへの掲載を目標にする人たちとの共通点は、何かを「楽しむ」ことの素晴らしさを互いに分かち合いたいという思いではないか。楽しむことは人生における、かなり高級な目標なのだ。
孔子の言葉(論語)を好んで引用する二木社長は言う。
「これを知る者は、これを好む者にしかず、これを好む者は、これを楽しむ者にしかず」。現代語訳は「あることを知っているだけの人は、それを好きになった人には勝てない、しかし、それを好きになった人も、それを楽しんでいる人には勝てない」という意味だ。
現代の大人は、「あなたが子供の頃、時を忘れて夢中になったことは何でしたか」と問われても、すぐには思い付かないのではないか。あるいは、ハッとして、遠い日の自分を思い出すかもしれない。
自然と遊べる公園
今の子供たちが大人になったら、「ゲームに時を忘れた」と話すのだろうか。「さすがにそれはまずいだろう」と感じている大人は多い。小学館のアウトドア誌「BE-PAL」と、BESSは共同で、子供たちがたくましく生きる力を育むことのできる公園「PAL PARK(パル・パーク)」を日本中につくろうというプロジェクトを進めている。
そこでは木登りはもちろん、池にいかだを浮かべる遊び、ツリーハウス、たき火、何でもOKだ。第1号はまだ実現していないが、「キャッチボール禁止」「花火禁止」など禁止だらけの現代の公園に一石を投じようとしている。子供が大声で騒ぎ回れる場所さえなくなっている現実に疑問を感じている住民や自治体職員も多いのではないか。
大人が作ったゲームに夢中になっているだけでは子供の感性は磨かれない。人間の五感はやはり、自然の中に身を置いてこそ研ぎ澄まされると思う。
BESSには様々な標語がある。「『住む』より、『楽しむ』」。「真面目生活よりも面白生活」「家自慢より暮らし自慢」などなど。
でも、記者が一番好きなのは、「人間も、自然の一部」。~人間も自然の中で生かされている存在。BESSの家で暮らすと、自分が自然体になってゆくことを実感する。自分の中に、みずみずしい生命力があふれ、気持ちが解放されてゆく~。 (本多信博)




















