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スタンダード会員限定住まいは 長寿を支えるか ■4 住環境に目を向ける医師

住宅新報 2016年9月6日 号 13面

連載: 住まいは長寿を支えるか

住まい・くらし

 住まいと健康をテーマにした催しが10月、相次いで開かれる。6日には日本医師会、日本居住福祉学会、埼玉県住まいづくり協議会の3団体が「住宅政策に医療を、医療政策に住環境を!」と題したフォーラムを共催する。

医療と連携

 医療と住宅業界が連携して、国民の健康長寿を住環境という視点から考える画期的な試みだ。内閣府、国土交通省、厚生労働省などの行政機関が後援する予定。

 次いで15日には、日本建築医学協会が「心と脳に良い家・悪い家をあなたは知っていますか」と題したセミナーを開催する(別掲記事参照)。 同協会は「環境が心をつくり、心が健康をつくる」という考えに立ち、〝建築医学〟という新しい学識領域を確立しようとしている。その目的は「住環境・職場環境を改善することで積極的に病気を予防すること」である。

 150年前、ナイチンゲールが看護覚書で「疾病原因の半分は住宅環境にある」と指摘したことは有名な話だが、建築医学でも「病は家から、病は生活環境から」と考え、特に「生活習慣病は住まいがつくっている」と警告する。

 このように近年、住まいと健康が大きなテーマとして浮上してきている背景には医学界に見られる2つの大きな流れがある。〝習慣〟つくる家

 その一つが「治療医学から予防医学へ」という流れ。もう一つが「西洋医学中心から統合医学へ」という変革である。統合医学とは、患部に対する対症療法的な西洋医学だけに頼るのではなく、東洋医学や様々な代替療法をも融合させ、患者を一人の人間としてトータルに捉えて、その人に合った最善の治療方法を考える医学である。

 まず、病気を予防するためには、その発病原因を突き止める必要があるが、現代人がかかりやすい生活習慣病の〝習慣〟を生み出しているものとして、住まいに注目する医師が増えている。

 家を持つと、その家に生涯居住することが多い日本人にとって、生活習慣の多くが住まいで形成されているだろうことは容易に推察できる。

 一方、患者を心の問題も含め、全人格的に捉え直そうとする統合医学の台頭も、医師に住宅や住環境に目を向けさせる起因となっている。どういうことか、説明しよう。

 今、アメリカの統合医学の最先端では、〝祈り〟が大きなテーマになっているという。医者や家族が、患者の病気が治ってほしいと心から願うと、その思い(祈り)が患者の心を癒やし、本人の生命力や自然治癒力を高めることが分かってきたという。

心が病を治す

 つまり、心と心の交流が病を治す、あるいは病を予防する力をもっているということだ。心の作用が健康や病気に大きく関わっているという建築医学の考えと重なる。

 住まいとは家族が共に生活をする場であるが、単に雨露がしのげればいいというものではない。家族に自然な会話が生まれ、よく語り合い、気持ちを交わし合える場でなければならない。そのためには間取り的にも、コミュニケーションが弾む設計になっていることが望ましい。

 同協会の松永修岳理事長はこう語る。 

 「現代社会は犯罪も病気も、ストレスが大きな引き金になっている。ストレスは環境や周囲の状況をどのように受け止めるかという〝心〟の問題だから、例えば家の中のリビングがゆったりしていて、心をリラックスさせ、癒やしてくれる場になっていれば病気を防ぐことができる」

 同理事長は15日のセミナーでは講師も務め、「未来はあなたの住まい環境が創っている」と題して講演する。楽しみだ。(本多信博)

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