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スタンダード会員限定住まいは 長寿を支えるか ■3 五感を刺激し〝健康脳〟に

住宅新報 2016年8月30日 号 11面

連載: 住まいは長寿を支えるか

住まい・くらし
「グレイプスガーデン西新井大師」で好評のフラワー教室

「グレイプスガーデン西新井大師」で好評のフラワー教室

 認知症は長い期間にわたる生活習慣にその発症要因があると見られている。例えば80歳で発症したとすれば、その原因は50歳、あるいは40歳頃からの生活習慣の積み重ねというわけだ。

 もちろん喫煙はその有力因子の一つである。タバコを吸うと血液の中の赤血球が酸素を十分に体内に運ぶことができないため、脳が酸欠状態になるらしい。それが一種の快感をもたらしているようだ。

 しかし当然だが、タバコを何年吸い続けても認知症になるとは限らない。発症するときは、何かがスイッチの働きをするらしいという説もある。要するに、はっきりとした原因は〝分からない〟わけだから、なるべく若いうちから予防を心掛けるしかない。

 積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所がこのほど開設した「生涯健康脳住宅研究所」は、脳が健康を維持するために配慮すべき事項として睡眠、運動、コミュニケーション、食事という4項目を掲げている。

よい睡眠と光環境

 江戸川大学睡眠研究所の福田一彦教授は「よい睡眠がとれるかどうかは、住宅の構造や機能によって大きく変わる可能性がある」という。また、こうも指摘する。

 「在宅時間のうち、最も長い活動が睡眠である。住宅はこれまで覚醒中の暮らしを中心に考えられてきたが、光環境など睡眠に注目した住宅を開発する必要がある」

 健康脳研究所の嘉規智織所長は、「寝る2時間前に過ごす部屋の照度を50ルクス以下にすることが望ましい」という。

 そのためにはリビングや寝室の照明器具を調光可能なものにしておく必要がある。昨年、住環境研究所が行った実験では、就寝前の照明条件を変更したグループ(12人)は、変更しなかったグループ(11人)に比べ、入眠・起床時刻共に前倒しになった。

 GHQ精神健康調査も行ったところ、光環境を変更したグループでは統計的に有意な改善(精神健康度の向上)がみられたという。

 同研究所は残る3項目(コミュニケーション、食事、運動)を合わせた「話・食・動・眠」(わしょくどうみん)をコンセプトに、健康な脳と住まいとの関係性を研究する。研究期間は2年程度を想定しており、「研究成果は当社の新築住宅やリフォーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などに生かしていく」(嘉規智織所長)という。

東建のサ高住では

 大手ディベロッパーの東京建物は、09年に「グレイプス浅草」(東京都台東区)でサ高住事業に参入した。現在は保有物件だけで7棟、他社物件の運営管理を加えると13棟に達している。14年には介護事業者の東京建物シニアライフサポートを設立。入居者が〝自分らしく生きる〟をコンセプトに、本格的な介護事業を展開している。

 健康維持への取り組みとしては、医療機関との連携体制はもちろん、精神的にも豊かで満たされた日々を送るため、多彩なイベントへの参加、保育園児との交流などを積極化している。

園芸療法を導入

 そうした試みの一つとして「グレイプスガーデン西新井大師」(東京都足立区)で導入しているのが「フラワーアクティビティ」だ。これは建物所有者でもある日比谷花壇が大学などの研究機関と共同開発した園芸療法の一種。フラワーアレンジメントや園芸作業を通して、体や精神機能の維持・回復を図り、たとえ障害があっても〝その人らしい〟生活ができるようになることを目的にしている。

 介護や認知症予防にも効果があるといわれているが、様々な植物が放つ香りが嗅覚を刺激し、脳の健康に効果を発揮していることが推測される。このフラワー教室は会話も弾み、コミュニケーションを図ることにもなると好評で、入居者のおよそ3分の1が参加しているという。 (本多信博)

 

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