厚生労働省は昨年、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)の仲間入りをする25年に認知症患者は700万人(15年=約525万人)を超えるだろうと発表した。5人に1人が認知症
これは高齢者(65歳以上)の5人に1人(20%)が認知症になる計算である。なぜこのように増えてしまうのか、単に高齢者の数に比例しているわけではない。
高齢者の認知症患者率は12年の15%、15年の16%、20年の18%(推計)と明らかに上昇傾向にある。答えはおそらく、長生きする高齢者が増えていることである。
85歳以上になると認知症になる割合は40%といわれ、これは他の病気と比べれば異常に高い数値である。果たして、認知症は〝病気〟なのかという疑問さえ抱きたくなる。
認知症の発症原因は、まだよく分かっていない。したがって、効果的な治療方法も見つかっていない。ただ、進行を遅らせることができるとみられている薬(アリセプト)の投与が行われているだけだ。にもかかわらず、と言うか、だからこそと言うべきか、現代人が〝今一番なりたくない病気〟が認知症である。
「ロコモ防止」に関心
長寿とは、楽しく長生きすることである。そのために欠かせないのが健康維持である。しかし普通は、長生きと健康は反比例する。人間は誰でも老いるし、老いるに連れ病気にかかりやすくなる。ということは、長寿を願うことは〝ないものねだり〟に近いのか。そうは思いたくない。何か対策はあるはずだ。
老年医学専門医の一人は「長生き3大病」として脳梗塞、認知症、ロコモティブシンドロームを挙げる。ロコモとは骨や筋肉などが衰え、立つ、歩くなどの運動能力が低下していくこと。放置すると要介護や認知症につながるということで、今その予防方法が高い関心を集めている。
東急不、有老ホで
東急不動産の介護付き有料老人ホーム「グランクレール藤が丘」では昨年10月から、入居者を対象に「ロコモ防止」体操を始めた。平日の毎朝10時から約30分、作業療法士の生田典子さんの指導のもとに行っている。平均20人程が参加する。東急イーライフデザイン統括部長・室長の田苗創基氏はその効果をこう語る。
「とにかく、皆さんがとても元気になられたことです。体操が終わるとすっきりした気分になって買い物に出掛けるとか、気の合う人を誘ってお茶をするとか、一日の行動意欲が高まった感じがします。それから、体操は朝食を済ましてからという決まりになっているので、それまではないがしろだった人も朝食をしっかりとるようになり、生活にリズム感が出て来ました」
療法士の生田さんはこう話す。「高齢でも運動した分の効果は必ず表れます。週に3日でも、2日でもしっかりと体を動かせば筋肉量を維持することができます。体力に自信がないといって体を動かさずにいるとますます体力が落ち、骨や関節がどんどん悪くなります。体操をすることで、そうした悪循環を断ち切り、プラスの連鎖を生むライフスタイルへ変化させていくことができます」。
記者も体験したが、ロコモ体操はスポーツ健康科学の立場から考案されたものだけに、標準的コースでも気持ちのいい汗をうっすらとかくことができ、終了後のすっきり感もその効果を信頼させるに十分である。


















