住宅各社が描く中期戦略 急ピッチの海外事業展開
住宅新報 2016年8月9日 号 21面
住宅各社の策定した新中期計画で最も勢いのある分野が、海外事業だ。長らく住宅建築請負という内需を事業の柱に据えてきたが、高い経済成長と共に旺盛な住宅需要が中長期のスパンで見込める海外へ事業進出を急ぐのは当然の流れと言える。
大和ハウス工業は、アセアンや先進国に加えて中東・中米で事業を拡大している。住友林業は、米国・豪州で前期比1.7倍にあたる8000戸の住宅供給の目標を掲げた。更に新しい地域への進出やM&Aも積極化している。更に、両グループは共同で現地の不動産投資管理会社と共に、豪州・シドニー近郊で複数の複合開発にも取り組んでいる。
台湾でのマンション請負・内装請負、マレーシアやインドネシアでの住宅供給に乗り出しているパナホームはこのほど、現地大手ディベロッパーによるマレーシアの大規模都市開発で、富裕層を対象とする戸建て住宅272戸の建築請負の大型受注で合意したばかり。また、マンション建て替えに強みがある旭化成ホームズもこのほど、台湾でのマンション供給に乗り出すと共に、サービスアパートメントのトライアルを始動するという。
海外進出が相次ぐ一方、国内では戸建てと低層賃貸住宅の請負以外の事業領域に踏み出す動きも急ピッチだ。これまでRC造や非住宅の分野として住み分けされていた中高層建築や大型木造建築といった分野にも住宅各社は活路を見い出している。
東日本大震災の復興需要や20年の東京五輪開催を控えて、近年、建築費の高止まり、職人不足が顕在化した。工場生産化率の高さに強みを持つ大手各社には追い風となっている。同時に公共施設の木造化推進や相続対策となる不動産需要の活発化も拍車をかけ、新たな市場が開けた格好だ。
カギ握るストック
もう一つ今後の住宅市場のカギを握っているのが住宅ストックだ。賃貸住宅管理、リフォーム、中古住宅流通といったストック市場は既に各社確立しているが、今後の市場整備を通じた成長の余力、発展の余地もまだ多く残されている事業領域でもある。「2025年に62万戸」と国内新設住宅着工が予測されている。新築住宅の市場縮小は避けられない見通しだが、豊かな暮らし、質の高い生活環境を住宅に求めるニーズは計り知れない。それらにどう応えるかは、無限の可能性を秘めている。



















