前回参議院選挙の投票率は54%だったが、うち18~19歳は45%と全体を下回った(総務省抽出調査)。この数字をどう見るかは微妙だが投票率よりも驚いたことがある。
それは、彼らが選んだ政党は自民党が40%でトップだったことだ(共同通信社出口調査)。全世代の38%よりも高い。10代の若者は現政権を支持しているということだ。
国は今、1000兆円以上の債務を抱え、しかも毎年30兆~40兆円もの新たな国債を発行し続けている。その返済には「60年償還ルール」という究極の先送り方式が採用されている。
つまり、これから社会に出て税金を納め始める今の若い世代はもちろん、まだ生まれてもいない遠い未来の日本人にも借金の返済負担を押し付けている。しかも、日本の人口は減少していく。この一事だけでも、日本社会が閉塞感に覆われている十分な理由となっている。 そうした〝問題先送り政権〟を、これから結婚し、子供を育てていこうとしている若い世代が支持しているのは不思議である。
問題を先取り
百歩譲って、様々な問題の先送りが許されたのは人口が増大していた時代であろう。人口が減少し始め高齢化も進む今は、むしろ問題を先取りし、早め早めの対策を打たなければ手遅れとなる。〝挽回不能〟というか、不可逆的リスクが増している時代だと思う。
住宅・不動産業界において、問題の先送りが許されない重要なテーマが、前号でも述べた高齢者の〝終の棲み家〟である。高齢者の住まいは、介護を要するかどうかなどで様々なタイプに分かれる。介護付きが最終な的住まいになるのだろうが、特に認知症になるリスクを想定し、仮にそうなっても最期まで住み続けることができる住まいというのは極めて少ない。
なりやすい独居老人
一人暮らしの高齢者は、家族と暮らす高齢者に比べて認知症になりやすいというデータがある。コミュニケーション不足が原因である。しかし、興味深いのは、「一人暮らしの認知症の人は、家族と暮らす(認知症の)人よりBPSD(行動・心理症状=徘徊など)が起こりにくいだけではなく、程度も軽い可能性があります」(『認知症はこわくない』高橋幸男著)という観察結果があることだ。
つまり、家族と暮らしていると日々家族から物忘れや判断力の低下を指摘され、叱られることでストレスをため込んでしまうのだと著者の高橋氏はいう。このように認知症の発症要因や(一人暮らしなど)、発症後の病状変化などに住環境がもたらす影響は大きい。高齢者の住まいの在り方はきわめてデリケートな問題である。
認知症の発症原因の研究はまだ途上である。したがって、明確な治療法も発見されていない。ただ、進行を遅らせることができると見られている薬が開発されているだけだ。にもかかわらず、現代人にとっては認知症が〝今一番なりたくない病気〟となっている。
それは、誰でも最期まで〝人間らしい生き方〟をしたいからであろう。だからこそ、住まいの研究には、人間らしい生き方とは何かという視点が欠かせない。
厚生労働省は昨年、全国で認知症を患う人の数が25年には700万人を超えるとの推計を発表した。これは65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になる計算である。 (本多信博)


















