〝遠い親戚より近くの他人〟 「マストクレリアン神楽坂」 多世代交流型賃貸に本腰 積水ハ
住宅新報 2015年5月5日 号 11面
積水ハウスの多世代交流型賃貸マンション「マストクレリアン神楽坂」(東京都新宿区)が竣工し、順調な入居状況が続いている。自立型サービス付き高齢者向け住宅45戸とファミリー(子育て)向け賃貸住宅71戸が併存した10階建て。3月から入居が始まったが、双方ともに約6割が契約済みとなっている。
同社はこれまでも「マストライフ古河庭園」(東京都北区)、「コモンシティ北上尾」(埼玉県上尾市)など高齢者世帯と子育て世帯が共に暮らす住まいを手掛けてきた。超高齢社会を迎え、自立している高齢者でも自ら早めの住み替えをしたくなるような、安心で快適な住まいの提供が必要との判断からである。
個室面積が25m2程度の介護型サ高住に入居した高齢者の退去理由を調べたところ、居室面積が狭い、介護者が多くコミュニティが築きにくいなどの理由で自宅に戻ってしまった人が退去者のうちの約4割を占めていることが分かった。
つまり、自立している高齢者は将来の不安があるため、見守りや介護サービスなどの機能が付いた高齢者住宅に移りたいとは思っているものの、そこには当然「部屋の広さ」や「快適性」「楽しいコミュニティ」など普通の住まいが備えているべき要素もなければならない。しかし、自立した高齢者のための空間は日本では自宅が71%、施設が23%に対し高齢者住宅は6%しかない。
自立型に照準
積水ハウスはこうした実態を踏まえ、昨年11月に「誇り高き高齢期を過ごすことができる賃貸住宅を供給することで社会に貢献する」ことを基本理念とする新会社積和グランドマスト(小山健社長)を設立した。「マストクレリアン神楽坂」のサ高住部分の室内面積は約52~86m2と広い。夫婦入居も多い。子育て世帯との交流スペースであるライブラリーラウンジや屋上庭園などもあり、ここに暮らす楽しみが感じられる。
小山社長は言う。「古河庭園でもそうだが、互いの交流が進むにつれ、子育て中の母親が親しくなった高齢者に子供を預かってもらうなどの付き合いが生まれている。昔の日本にはそうした近所づきあいがごく自然にあった」
遠い親戚より近くの他人――最近はあまり聞かなくなった言葉だが、多世代交流型賃貸の存在意義はそこにある。



















