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プレミアム会員限定今週の糸口 ◇94 〝更地返還〟に違和感

住宅新報 2014年5月27日 号 15面

連載: 今週の糸口

住まい・くらし

 全国定期借地借家権推進機構連合会(塩見宙会長)の総会が5月22日、都内で開かれた。同連合会には現在、全国15の推進機構が加盟している。

 総会では役員改選や会計報告に加え、各推進機構からの活動報告も行われたが、研修会や「定借アドバイザー講座」(初級・上級)などの実施頻度は各機構間でバラツキのあることが分かった。そこで、今後は連合会ホームページを充実させ、各機構が密に情報交換していくことを決めた。

 定期借地権付き住宅は92年に創設された。その狙いは、土地を所有せず借地とすることで土地にかかるコストを削減、その分敷地を広くしたり、建物コストに回すことで、より豊かな居住環境を確保するところにある。

伸び悩む定借

 ところが、その供給実績はあまり増えていない(05~09年は年間2000戸以下)。時折、大手ディベロッパーが都内の神社境内に大型の定期借地権付き分譲マンションを供給したりしてはいるが、あとは一部の中小事業者が地元で実績を重ねている程度だ。

 ただ、地方公共団体が遊休地活用に定期借地権を活用するケースは増加傾向にある。それでも、国民への周知度としては依然低く、不動産業界の中でさえ十分に認知されているとは言えない。

 その要因を改めて考えてみると――。定期借地権はある意味では不運なタイミングで生まれてきたとの指摘がある。元来は、地価が高騰し、庶民が家を持てなくなっていたことから、土地を所有しなくても家が持てるようにしようとの目的で創設されたが、その後は一転して地価が下落し始めたため、その必要性が薄らいでしまった。

 また、一戸建ての場合は長いデフレ不況が続いたことから、所得の逓減と小家族化が進んだことである。そのため、より広い敷地や住宅に対するニーズも減退した。

 ただ、定期借地権住宅の普及を阻んでいる、より本質的な要因は別にある気がする。それは、借地期間が終了する50~70年後には住宅を解体して、更地返還するというスキームが基本(原則)となっている点である。今後ますます地球環境問題の深刻化が懸念され、建物の寿命を延ばし、建て替えによるエネルギーロスを防ぐことが大事な命題となっているのに対し、更地返還は違和感を拭い得ない。

土地、建物は一体

 地価高騰時代には土地と建物を分離することにも意味があった。しかし、〝土地神話〟が崩壊し、土地は利用してこそ価値があるといわれるいま、土地と建物は一体のものととらえる発想こそ人々の理解が得やすいのではないか。つまり、借地期間が終了したら、住宅(建物)は当然のごとく土地と同化し、土地所有者に建物の所有権が移転するというスキームの方が自然である。

 そして、借地期間終了後は地主と借地人が合意すれば、借地人は賃貸住宅として住み続けることができる。ちなみに今から70年後の人口は7000万人になるというのが国立社会保障・人口問題研究所の中位推計である。どういう社会になっているかは不明だが、解体させて住民を追い出すことを果たして地主は選択するだろうか。 (本多信博)

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